北海道の厚沢部町は、渡島半島の日本海側、檜山地方の内陸に位置する田園の町です。じゃがいもの品種メークインが国内ではじめて栽培された発祥の地として知られ、町の面積のおよそ8割を森林が占める緑ゆたかな環境が大きな特徴です。観光地が密集した華やかな街ではありませんが、メークインをはじめとする農産物と、ヒノキアスナロの森が織りなす素朴な魅力が静かに息づいています。

運営者の「とかいかん」は北海道に暮らす立場から、自治体の公式情報や観光案内をもとに、厚沢部町への行き方と楽しみ方を一本の案内に整理しました。函館を起点に足をのばす旅程を想定し、移動手段の選び方、道の駅を中心にした巡り方、特産や森の楽しみ方までを順番にまとめています。ここで紹介する所要時間や運行の目安は変わることがあるため、出発前には公式の最新情報をあわせて確認してください。

この案内では、まず厚沢部町への移動とアクセスを整理し、続いて町の特産やグルメ、自然の楽しみ方へと話を進めます。読み終えるころには、道南の旅程に厚沢部町をどう組み込むかの見取り図が描けるはずです。それでは、北海道在住の目線で厚沢部町の楽しみ方を見ていきましょう。

  • 厚沢部町はメークイン国内発祥の地として知られ、道の駅あっさぶが旅の拠点になります。
  • 函館駅前から函館バスで約1時間50分、新函館北斗駅からは約50分が目安です。
  • ヒノキアスナロ(ヒバ)の北限にあたる土橋自然観察教育林やレクの森が自然の見どころです。
  • 移動は車かバスが基本で、本数の少ないバスは時刻を先に確認しておくと安心です。
  • メークインや光黒大豆、アスパラ、じゃがいも焼酎など農産物の豊かさが町の素顔です。

厚沢部町への行き方と町内の移動を整理する

厚沢部町の旅をスムーズにする第一歩は、函館方面からの移動手段を旅程に合わせて選ぶことです。厚沢部町には鉄道の駅がなく、最寄りの新幹線駅である新函館北斗駅からバスか車で向かうのが基本になります。ここではバスと車のそれぞれの特徴を整理し、そのうえで町内をどう回るかを見ていきます。移動の組み立てが決まると、滞在時間の使い方も一気に具体的になります。

函館方面から厚沢部町への行き方を比較した図

函館バスの江差方面行きで向かう

公共交通で訪れる場合の中心になるのが、函館バスの江差方面行きの路線です。函館駅前から厚沢部までは約1時間50分、新函館北斗駅からは約50分が目安とされています。北海道新幹線で新函館北斗駅まで来てバスに乗り換える流れは、道外から厚沢部町を目指す方にとって分かりやすい行き方です。バスは江差ターミナル方面を結ぶ路線が町内を通っており、車を運転しない旅でも厚沢部町へたどり着くことができます。

ただし、地方路線のバスは本数が限られます。運賃や正確な発車時刻、運休の有無は、出発前に函館バスや厚沢部町の公式案内で確認してください。行きと帰りの時刻を先に押さえておかないと、現地での滞在時間が大きく左右されます。午前のうちに函館方面から向かい、夕方までに戻る組み立てにすると、無理のない日帰り行程が立てやすくなります。

新函館北斗駅で乗り換える行き方は、本州方面から新幹線で北海道へ入る旅とも相性がよいものです。駅に着いてから江差方面のバスに乗り継げば、乗り換えは一度で済みます。大きな荷物がある場合は、駅のコインロッカーや宿泊先への荷物預けを上手に使うと、町歩きを身軽に楽しめます。バスの本数が少ない時間帯にあたると待ち時間が生じるため、駅周辺で食事や買い物の時間を組み込んでおくと、待ち時間も旅の一部として過ごせます。なお、町内を通っていた一部の路線は近年に廃止されており、利用できる便がこれまでと変わっている場合があります。最新の路線図や時刻表は、出発前にバス会社や町の公式案内で必ず確かめておくと安心です。

車なら国道227号で函館から約1時間強

厚沢部町をいちばん回りやすいのは、やはり車での移動です。函館市街から厚沢部町までは国道227号(大野国道)を経由して約1時間強が目安で、札幌からは約4時間ほどを見ておくとよいでしょう。自分たちのペースで動けて、道の駅や森、農産物直売所といった点在するスポットを効率よく結べるのが車の利点です。町内は見どころが広い範囲に散らばっているため、車があると一日の動線を自由に設計できます。

厚沢部町は内陸の田園地帯で、信号や渋滞の少ない道がのびています。一方で、冬季は路面の凍結や積雪に十分な注意が必要です。慣れていない雪道での運転は無理をせず、時間に余裕を持った計画にしてください。函館から厚沢部町、さらに江差や上ノ国といった檜山の町々へ続けて足をのばす周遊も、車であれば組み立てやすくなります。

車での旅は、厚沢部町を起点に道南西部を周遊したいときに真価を発揮します。海沿いへ出れば江差や乙部、内陸を抜ければ北斗市や函館方面へとつながり、複数の町をまとめて巡る計画が描けます。公共交通だけでは時間のかかる場所へも自分たちのペースで回れるため、道南の広がりを体感したい旅には向いています。給油や食事の場所は町ごとに限られることもあるので、走り出す前に立ち寄り先の営業時間をざっと調べておくと、当日に慌てずに済みます。

町内の回り方と道の駅という拠点

厚沢部町に着いてからの移動は、国道227号沿いにある道の駅あっさぶを起点に考えると分かりやすいです。道の駅は町の玄関口の役割を果たしており、特産品や観光の情報がここに集まっています。まず道の駅に立ち寄って町の様子をつかみ、そこから森や直売所へ足をのばす流れにすると、初めての訪問でも迷いにくくなります。

町内のスポットは互いに少し離れているため、徒歩だけで回り切るのは現実的ではありません。バスで訪れた場合は、道の駅やバス停を中心に無理のない範囲で歩き、距離のある場所はあらかじめ計画から外すか、タクシーの利用を検討するとよいでしょう。レクの森のような自然の中の施設へは車でのアクセスが前提になることが多いため、公共交通で訪れる際は事前に行き方を調べておくと安心です。

歩く順番より、立ち寄る順番を組み立てるのが厚沢部町の回り方のコツです。道の駅で昼食や買い物の中心を据え、午前のうちに森や直売所など離れた場所を回り、午後に道の駅へ戻ってゆっくり過ごすといった流れにすると、移動の無駄が減ります。季節によって農産物の直売や施設の営業状況は変わるため、見たいものがはっきりしている場合は、訪れる前に町の公式情報で開いている時期を確認しておくと、空振りを避けられます。

新函館北斗駅から厚沢部へバスで向かうルート図

厚沢部町の基本データとアクセスの目安

ここで、厚沢部町の基本的なデータと函館方面からのアクセスの目安を表にまとめておきます。数値はいずれも目安であり、最新の正確な情報は公式の発表を確認してください。

項目 内容(目安)
所在地 北海道 檜山振興局管内 檜山郡厚沢部町
人口 約3,130人(2026年4月時点)
面積 約460.58平方キロメートル(約8割が森林)
役場 厚沢部町新町
バス(函館駅前から) 函館バス 江差方面行きで約1時間50分
バス(新函館北斗駅から) 江差方面行きで約50分
車(函館から) 国道227号 経由で約1時間強
厚沢部町への移動は、車なら函館から国道227号で約1時間強、公共交通なら新函館北斗駅から江差方面のバスで約50分という整理が分かりやすいです。鉄道の駅がなくバスの本数も限られるため、行きと帰りの時刻を先に確認しておくのが安心です。道南のほかのエリア情報は北海道・道南エリアの記事もあわせてご覧ください。

厚沢部町の名産・グルメと自然の楽しみ方

移動の段取りが見えてきたら、いよいよ厚沢部町で何を楽しむかです。厚沢部町は、メークインに代表される農産物の豊かさと、ヒノキアスナロの森が育む自然という二つの軸で語ることができます。派手な観光施設は多くありませんが、土地の恵みを味わい、森の空気に触れる素朴な時間が厚沢部町ならではの楽しみ方です。ここでは特産とグルメ、自然の見どころを順に紹介します。

厚沢部町の特産と見どころを4分野で整理した図

メークイン発祥の地で味わうじゃがいもグルメ

厚沢部町を語るうえで欠かせないのが、じゃがいもの品種メークインが国内ではじめて栽培された発祥の地であることです。大正14年に町内の試作場ではじめて試作され、その歩みをたたえる「メークイン発祥の地」の碑も建てられています。メークインは低温で貯蔵すると甘みを増し、煮くずれしにくいことからシチューやカレー、サラダなどに向く品種で、厚沢部町は今もその名産地として知られています。

このメークインを存分に味わえるのが、国道227号沿いの道の駅あっさぶです。地元のヒノキアスナロ材を用いて建てられた建物の中には、メークインをはじめとする厚沢部産の野菜や加工品が数多く並びます。発祥の地ならではのコロッケや、北海道産牛乳を使ったソフトクリームといった名物もあり、旅の途中の食事や休憩にうってつけです。2022年には新しい商業施設も加わり、買う・食べる・休むを一度に楽しめる拠点へと姿を変えています。

道の駅は単なる休憩所ではなく、町の特産を一望できる窓口でもあります。メークインのほか、後で紹介する豆やアスパラ、じゃがいもを原料にした焼酎など、厚沢部町の農の幅広さがここに集まっています。お土産選びの中心地として立ち寄れば、町の味をまとめて持ち帰ることができます。北海道の品物に関心がある場合は、北海道の商品・お取り寄せの記事も参考になります。

光黒大豆やアスパラなど豊かな農産物

厚沢部町の魅力はメークインだけではありません。光黒大豆をはじめとする豆類は、栄養価の高さから健康食品としても注目される町の特産です。つややかな黒大豆は、煮豆として食卓に上がるほか、贈り物としても親しまれています。あわせて、春から初夏にかけては立茎栽培のアスパラガスが旬を迎え、みずみずしい味わいが楽しめます。

こうした農産物を原料にした加工品も見逃せません。地元のじゃがいもを使ったじゃがいも焼酎「喜多里」は、厚沢部町ならではの土産になります。農産物の旬や直売の時期は季節によって移り変わるため、何を目当てにするかで訪れる時期を選ぶのも一つの楽しみ方です。どの時期に何が手に入るかは、道の駅や町の公式情報で確認すると確実です。北海道そのものをもっと知りたくなったら、北海道を知ろうの記事一覧ものぞいてみてください。

ヒノキアスナロ北限の森とレクの森

厚沢部町のもう一つの顔が、町域の大半を占める森です。なかでも土橋自然観察教育林は、ヒノキアスナロ(ヒバ)の北限にあたる貴重な森として知られています。トドマツの南限とも重なるこの一帯には数多くの植物が見られ、森林浴や自然観察に親しめる空間が広がっています。森の中には展示施設も置かれ、木や昆虫の標本、草花や野鳥の写真を通して、この森ならではの自然を学ぶことができます。

この教育林は「レクの森」とも呼ばれ、キャンプ場としても親しまれています。テントを張れるサイトや手ごろな価格のバンガローが整い、自然の中で静かな時間を過ごしたい人に向いた場所です。利用できる時期や開設状況は季節によって変わるため、訪れる前に町の公式案内で確認してください。森の散策や宿泊を旅程に組み込めば、厚沢部町の素顔である緑との時間を、より深く味わうことができます。

森歩きを楽しむなら、歩きやすい靴と季節に合った装いを用意しておくと安心です。北限のヒバが育つ森は、季節ごとに表情を変えます。新緑のころは木々の芽吹きが、夏は木陰の涼しさが、秋は色づく葉が見どころになり、同じ場所でも訪れる時期によって印象が大きく変わります。道の駅で町の味を楽しんだあと、午後に森へ足をのばして空気の澄んだ時間を過ごすといった流れは、厚沢部町らしい一日の組み立てです。自然の中の施設は天候の影響を受けやすいので、雨の日は無理をせず、道の駅や直売を中心にした行程に切り替えるのも一つの判断です。

厚沢部町の楽しみ方は、メークイン発祥の地としての道の駅あっさぶ、光黒大豆やアスパラといった農産物、そしてヒノキアスナロ北限の土橋自然観察教育林という柱で考えると整理しやすいです。どれも町の素朴な恵みに根ざしており、道の駅を拠点にすれば無理なくつなげられます。

厚沢部町を道南の旅程に組み込むためのまとめ

ここまで、厚沢部町への行き方と町内の回り方、そして特産やグルメ、自然の楽しみ方を順に見てきました。函館方面から日帰りで足をのばせる距離にあり、道の駅あっさぶを拠点にすれば初めてでも回りやすい町です。メークインを味わい、農産物を選び、北限のヒバの森に触れるという厚沢部町らしい時間は、観光地巡りとはひと味違う旅の楽しみを与えてくれます。

最後に要点を振り返ると、移動は車なら国道227号、公共交通なら新函館北斗駅からの江差方面バスを軸にすること、町内は道の駅あっさぶを拠点に組み立てること、そしてメークイン・農産物・北限の森という三つの魅力を時間配分の中心に置くこと、この三点を押さえると計画が立てやすくなります。所要時間やバスの運行、施設の営業情報は変わることがあるため、出発前に公式の発表を確認してから出かけてください。

厚沢部町は、函館や江差とあわせて道南西部を巡る旅に組み込みやすい町です。最新の見どころやアクセスは、厚沢部町公式サイト(厚沢部町公式ホームページ)、移住・定住&観光情報サイト(あっさぶ 総合サイト)、北海道公式観光サイト(GOOD DAY 北海道)で確認すると確実です。厚沢部町での時間が、思い出に残る北海道旅の一場面になればうれしく思います。