小樽でペット可の賃貸は見つかる?相場も調査!
小樽と聞いて思い浮かぶのは、運河沿いのガス灯と石造倉庫、坂の上から見下ろす港でしょう。年に何百万人も人が訪れる観光の街という印象は、半分は正しいところから始まります。
ただ、賃貸情報サイトで小樽市のペット可の条件を絞り込むと、2026年7月時点でおよそ290件から600件の部屋が並びます。人口およそ10万人の市として、これは決して少ない数ではありません。観光地の顔の裏側に、犬や猫と暮らす人を受け入れる住宅市場がひとつ立っています。
この記事では、なぜ小樽にペット可の部屋が積み上がるのかという理由から、家賃の水準、エリアごとの向き不向きまでを、旅行ではなく住む側の目線で整理していきます。
この記事で分かることは次のとおりです。
- 人口減少と空き家がペット可の物件数を押し上げている仕組み
- 小樽の家賃の中心帯と、ペット可で上乗せされる初期費用の目安
- ペット可とペット相談可という表記の差が意味するもの
- 駅前・築港・朝里・銭函という4エリアの選び分けと冬の注意点
それでは、順番に見ていきます。
小樽でペット可の賃貸が多いのはなぜか
最初に、物件数の背景にある住宅事情から整理します。ここで扱うのは物件の良し悪しではなく、街の人口構造が貸し方をどう変えてきたかという話です。
結論から書くと、小樽のペット可の多さは、動物にやさしい街だからではなく、空室を埋める必要があったという事情の裏返しとして立ち上がっています。
人口10万人の街で起きている空室の事情
小樽市が公表している住民基本台帳ベースの人口は、令和7年(2025年)の年明け時点でおよそ10万3千人です。2013年からの10年間ではおよそ2万人が減り、世帯数も約5千世帯が失われて6万世帯台に落ち着きました。数字の推移は市の統計ページで年ごとに公開されています。
小樽市の人口統計(小樽市公式)を追うと、減少が一時的な波ではなく、20年以上続く傾向であることが見て取れます。国立社会保障・人口問題研究所の推計をもとにした見通しでは、2025年時点の高齢化率は4割台に届くとされています。
人が減れば、住まいは余ります。総務省の令和5年住宅・土地統計調査(2023年)によると、北海道の空き家率は15.6%で、全国の13.8%を上回りました。小樽は道内でも早くから人口が減り始めた市のひとつで、坂の中腹に建つ木造住宅を中心に、住み手のいない家が積み上がってきました。
この余剰が、貸す側の判断を変えます。借り手を選べる時代なら断っていた条件を、空室のまま置くよりは受け入れるという方向に傾くわけです。相続した戸建てや分譲マンションの一室を賃貸に回す例も増え、そうした物件は管理組合の規約さえ通れば、ペットの飼育に踏み込みやすくなります。
小樽でペット可の部屋が探しやすいのは、街が余裕を持っているからではなく、余っているからです。身も蓋もない言い方になりますが、借りる側にとってはこの構図を理解しておくほど交渉の余地が見えてきます。築年数が古い、坂の上にある、駅から遠いといった弱点を抱えた物件ほど、条件がゆるむ傾向があります。
もうひとつ押さえておきたいのは、この余剰が市内で均一に生じているわけではないという点です。坂の上や駅から離れた地区ほど空室が長引きやすく、条件の緩和もそちらに集中します。逆に、平地で買い物に困らない地区の新しい物件は、ペット不可のまま埋まっていきます。条件のゆるさと立地の便利さは、おおむね反比例します。どちらを取るかを先に決めておくと、探す範囲を早い段階で絞り込めます。
小樽の家賃相場と初期費用のめやす
次に、財布に直結する数字を見ていきます。2026年7月時点で複数の賃貸情報サイトに掲載されている小樽市の物件をならすと、ペット可・ペット相談可の家賃はおよそ4万円台から6万円台に集まっています。集計サイトによって平均が4.2万円と出るところもあれば、相場を6.6万円と示すところもあり、この開きは対象に貸家を含むかどうかで生まれます。
間取りごとの水準は上の図のとおりです。銭函など郊外側では単身向けの1LDKや2DKが5万円から6万円、ファミリー向けの2LDKが6万円から7万円という帯が中心になります。小樽駅の周辺で新築を狙うと2LDKで7万円台後半から8万円台に届く例もあり、同じ市内でも1万円以上の幅が出ます。
気をつけたいのは、月々の家賃よりも入居時にかかる費用です。ペットの飼育を認める物件では、敷金が通常より1か月分ほど上乗せされる例が一般的で、これとは別に返還されないペット礼金が設定されていることもあります。猫の場合は月額に3千円ほど加算するといった、種類ごとの条件を設ける物件も見られます。
入居時にかかるお金を項目ごとに並べると、次のような内訳になります。
| 項目 | ペットなしの目安 | ペット可での扱い |
|---|---|---|
| 敷金 | 家賃1か月分 | 1か月分ほど上乗せされる例が多い |
| 礼金 | 0から1か月分 | ペット礼金が別に付く物件もある |
| 月額の加算 | なし | 猫は月3千円程度を加算する例がある |
| 退去時の負担 | 通常損耗は貸主負担 | 傷や臭いは借主負担になりやすい |
敷金の上乗せは損に見えますが、退去時の精算に充てられる預かり金です。返らない礼金や償却分と混ぜて考えると判断を誤ります。
契約書では、預かり金である敷金と、戻らない礼金や敷引きの部分を必ず分けて確認してください。同じ「上乗せ」でも、退去時に手元へ戻るかどうかがまるで違います。
退去時の負担についても先に知っておくと安心です。国土交通省の原状回復をめぐるトラブルとガイドラインでは、ペットによる傷や臭いは通常の生活で生じる損耗とは切り分けて扱われ、借主の負担とされています。壁の下地まで達した爪跡や、消臭では取り切れない臭いは実費になりやすい部分です。
ペット可とペット相談可は同じではない
物件情報を眺めていると、ペット可という表記とペット相談可という表記が並んでいます。似た言葉ですが、意味する範囲は同じではありません。ここを取り違えると、内見まで進んでから話が止まってしまいます。
ペット可は、あらかじめ飼育が認められている物件を指します。とはいえ無条件ではなく、小型犬まで、体重10キロ以内、1頭までといった上限が設けられているのが普通です。共用部での抱きかかえや、専用の足洗い場の使用など、建物ごとの決まりが管理規約に書かれています。
一方のペット相談可は、条件しだいで認められる可能性がある、という状態を示す表記です。貸主や管理会社の考え方で判断が分かれ、小型犬1頭ならよいが猫は不可、多頭飼いは不可といった線引きが後から出てきます。相談可とだけ書かれている物件は、種類・頭数・大きさの3点を最初に伝えて可否を確かめるのが早道です。
とくに猫は、犬より扱いが慎重になりがちです。爪とぎによる壁や柱の傷が想定されるためで、犬は可でも猫は不可という物件は珍しくありません。逆に、坂の上の古い貸家などでは大型犬まで受け入れる例もあります。表記の2文字より、貸主が何を心配しているかを読み取るほうが実務的です。
問い合わせの段階で、犬種または猫種・体重・頭数・去勢や避妊の有無・しつけの状況を一度に伝えると、可否の返答が早く返ってきます。写真を添えると話が進みやすくなる例もあります。
小樽のペット可賃貸をエリアで選び分ける
ここからは、街のどこに住むかという話に移ります。小樽は南北に長く、海沿いの平地と斜面の住宅地が入り組んでいるため、同じ市内でも暮らし方がかなり変わります。
札幌への近さ、買い物のしやすさ、そして坂の有無という3つの軸で見ていくと、選び分けの輪郭がはっきりしてきます。
4つのエリアを条件ごとに並べると、優先したいものが決めやすくなります。
| エリア | 札幌への近さ | 坂の負担 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 小樽駅前・中心部 | 快速で30分台 | 大きい | 車を持たずに暮らしたい人 |
| 南小樽・築港 | 30分前後 | 小さい | まとめ買いと平地を重視する人 |
| 朝里 | 小樽駅より短い | 中くらい | 静かな環境で車も使う人 |
| 銭函 | 20分台 | 小さい | 札幌へ毎日通う人 |
ここからは、それぞれの地区で暮らす場合の条件を順に見ていきます。
小樽駅前は徒歩圏で用事が片づく
小樽駅を中心とした一帯は、市内でもっとも用事が徒歩で片づくエリアです。駅前から都通り、サンモール一番街と続くアーケード商店街があり、市役所や総合病院も坂を少し上った範囲に収まっています。車を持たずに暮らす選択肢が現実的に取れる場所です。
この駅前がどれほど市街地らしい顔をしているかは、JR小樽駅前が都会化していた記事で写真とともに整理しています。観光の入り口という印象が強い駅ですが、生活側から見ると日用品と行政と医療がひとかたまりになった密度の高い一角です。
賃貸の在庫としては、築年数の経ったマンションと、斜面に建つアパートが中心になります。ペット可の条件は付きやすい一方で、玄関まで階段を上がる構造の物件が多い点は犬と暮らすうえで無視できません。高齢の犬や足腰の弱い犬を迎えるなら、エレベーターの有無と、駐車場から玄関までの高低差を先に確かめておきたいところです。
家賃は市内では高めに振れます。とくに駅から徒歩10分以内の新しい物件は、2LDKで8万円前後に届く例もあります。それでも札幌市中心部の同条件と比べれば低い水準にとどまり、通勤の頻度が週に数回で済む働き方なら、費用対効果は取りやすくなります。
南小樽と築港は買い物と海が近い
南小樽から築港にかけては、暮らしの利便が別の形で整っているエリアです。JR小樽築港駅には大型の商業施設が直結し、食料品から衣料、映画館までがひとつの建物にまとまっています。週末にまとめ買いをする生活とは相性がよい立地です。
この一帯の様子はJR小樽築港駅の周辺をまとめた記事で触れています。かつて貨物の操車場だった広い平地が再開発された経緯があり、市内でも珍しく起伏の少ない住宅地が広がっている点が、ペットとの暮らしでは効いてきます。
海が近いことも特徴です。冬の風は強くなりますが、夏から秋にかけては海沿いを長めに歩ける環境が確保できます。坂を避けたい、雪かきの負担を減らしたいという条件を優先するなら、まず候補に入るのがこのエリアです。
賃貸としては、分譲マンションを賃貸に回した物件がまとまって出てくる地区でもあります。設備が比較的新しく、管理も行き届いている代わりに、管理規約でペットの上限が細かく決まっている場合があります。契約前に規約の写しを見せてもらうと、後の行き違いを避けられます。
銭函と朝里は札幌への近さで選ぶ
小樽市の東端にあたる銭函と、その手前の朝里は、札幌への通勤を軸に選ばれることが多い地区です。札幌駅から小樽駅までは快速でおよそ30分台、普通列車で45分から1時間ほどかかりますが、銭函や朝里はその途中にあるため、所要時間はさらに短くなります。
ダイヤは時間帯によって性格が変わります。日中は快速が毎時数本走る一方、早朝と夜遅い時間帯は普通列車のみという時間も出てきます。通勤の現実的な負担を測るには、JR北海道の時刻表で自分の出勤時刻に該当する便を確かめておくのが確実です。
家賃の水準は市内では手ごろな部類に入り、単身向けの1LDKや2DKで5万円から6万円という帯が中心になります。札幌市内の同条件より1万円から2万円ほど低く抑えられる例が多く、その差額が通勤定期の負担を上回るかどうかが判断の分かれ目になります。
銭函には砂浜と防風林があり、犬を連れて歩ける場所が確保しやすい環境です。ただし冬は日本海からの風が直接あたるため、地吹雪で視界が落ちる日もあります。散歩の時間帯を朝夕にずらす、風の弱い内陸側の道を選ぶといった調整が必要になる日が、年に何度かは出てきます。
坂と雪が犬との散歩を左右する
エリア選びの最後に、小樽という街の地形そのものが暮らしに与える影響を押さえておきます。小樽は海岸線のすぐ裏まで丘が迫っており、市街地の多くが斜面の上に載っています。船見坂や地獄坂といった名前がつくほど、坂は街の記号になっています。
坂は景色をよくしますが、犬との散歩では負荷になります。若く元気な犬なら運動量として歓迎できる一方、シニア期に入った犬や短頭種には厳しい勾配もあります。物件を見るときは、玄関を出てから平らな道に出るまでに何分かかるかを実測しておくと判断しやすくなります。
そして雪です。積雪期の小樽では、歩道が雪で狭まり、除雪でできた雪の壁が視界をふさぐ日が続きます。敷地内の除雪が入居者負担なのか管理会社の手配なのかは、契約前に必ず確かめるべき項目です。坂の上の物件では、この差が冬の生活の質をそのまま決めてしまいます。
北海道の住宅に多い風除室の有無も見ておきたい点です。玄関の前にもうひとつ扉がある構造で、冬に室温を保つだけでなく、雪や泥のついた犬の足を拭く場所としても使えます。夏に内見すると価値が分かりにくい設備ですが、冬を越すと評価が変わる部分です。
車を使う場合は、駐車場の位置も冬の条件に含まれます。坂の途中にある物件では、朝いちばんに車を出せるかどうかが天候に左右されます。動物病院へ急ぐ場面を想定するなら、幹線道路に出るまでの経路が除雪の優先路線に含まれているかまで見ておくと安心です。市の除雪計画は路線ごとに公開されており、住む前に確認できます。
小樽のペット可賃貸に関するよくある質問
ここでは、問い合わせの前につまずきやすい点を短くまとめます。個別の物件で判断が変わるため、最終的な確認は管理会社に取ってください。
入居後から飼い始めることはできる?
ペット可の物件であっても、入居後に飼い始める場合は貸主への届け出が要ります。契約時にペットなしで申し込んでいると、家賃や敷金の条件がペットなしの前提で組まれているためです。無断で飼い始めると契約違反として扱われ、退去を求められる例もあります。
手順としては、管理会社に連絡して条件の変更を相談し、必要なら覚書を交わす形が一般的です。差額の敷金を追加で預けることで認められるケースが多く、事前に相談するほど話は通りやすくなります。
貸家や一戸建てでもペットは飼える?
小樽では、木造の貸家や一戸建てにペット可の条件が付く例が比較的多く見られます。集合住宅と違って隣室への音や臭いの影響が小さく、庭がある物件なら運動量も確保しやすいためです。多頭飼いや中型犬以上を検討している場合は、まず貸家から探すほうが選択肢は広がります。
ただし築年数の古い建物が中心になるため、断熱性能や暖房費の負担は事前に確認しておきたい部分です。冬季の灯油代や電気代は、家賃の差を打ち消すほどの金額になることもあります。
多頭飼いや大型犬の物件は探せる?
数は限られますが、探せないわけではありません。集合住宅では1頭までという上限が多い一方、貸家や、管理規約に細かい定めのない古い物件では相談に応じる例があります。掲載情報だけで判断せず、条件を明示して問い合わせることが近道です。
探す順序としては、貸家を軸に候補を集め、そのうえで駅までの距離と冬の除雪体制で絞り込む流れが現実的です。頭数や体格の条件は、後から緩めてもらうのが難しい項目のため、最初に確定させておくと無駄な内見を減らせます。
まとめ|小樽のペット可賃貸の選び方
小樽でペット可の賃貸が探しやすいのは、街が動物に寛容だからではありません。人口が20年以上減り続け、空き家が積み上がった結果として、貸す側が条件をゆるめてきたという事情がその背後にあります。運河と寿司の街という顔の裏で、住宅市場は静かに買い手市場へと傾いてきました。
選び方の軸は3つに整理できます。家賃と初期費用の総額、札幌までの所要時間、そして坂と雪への耐性です。とくに3つ目は、内見が夏に集中する性質上、見落とされやすい項目です。玄関から平坦な道までの距離と、敷地内の除雪の担当者を確かめるだけでも、冬の負担はかなり読めるようになります。
問い合わせの前に決めておくとよいのは、種類と頭数と体重、そして予算の上限です。この4点が固まっていると、ペット相談可の物件でも可否の返答が早く、内見の空振りを減らせます。
北海道で暮らすこと全般の向き不向きについては、北海道への移住で失敗しないための準備をまとめた記事もあわせて参考にしてください。小樽は札幌まで30分台という近さを持ちながら、家賃は札幌市内より低く、海と丘が徒歩圏にある街です。観光地としてではなく生活の場として測り直したとき、犬や猫と暮らす条件はむしろ整っているという見方もできます。

