「北海道でカニを食べるなら、獲れたての地物を大自然の恵みとして味わえる」。旅行を計画するとき、多くの人がそんな光景を思い描きます。この期待は半分は正しく、半分は思い込みです。北海道では毛ガニ・タラバガニ・ズワイガニ・花咲ガニという四種類すべてが揚がり、四大カニの年間水揚げは約5,000トンに達します。四種類がそろう地域は全国でも数えるほどしかありません。

ところが、道内の食卓や飲食店に並ぶタラバガニの多くは、海の向こうから運ばれてきたものです。日本で流通するタラバの約9割が外国産という統計もあり、「北海道のカニ」を成り立たせているのは、海の恵みだけでなく港と物流の力でもあります。自然の豊かさと、それを受けとめる都市の仕組みが重なって、あの一杯は食卓に届きます。

この記事では、四種類のカニの旬と産地、そして市場・専門店・港町・通販という食べ方の違いを、数字と背景から丁寧に整理します。読み終えるころには、どこで・いつ・どのカニを狙えば満足度が高いのかが見えてきます。旅の時期がもう決まっている人も、これから決める人も使える内容にしました。

この記事で分かることは、次のとおりです。

  • 北海道の四大カニ(タラバ・ズワイ・毛ガニ・花咲ガニ)の旬と味の違い
  • カニの種類ごとに狙うべき季節と、主な産地の場所
  • 市場・専門店・港町・通販という食べ方それぞれの向き不向き
  • 道内で食べるカニの多くが輸入もの、という流通の背景

北海道でカニを食べるなら、まず四種類と旬を押さえる

ひとくちに「北海道のカニ」と言っても、種類が違えば旬も産地も味わいもまるで別物です。旅行の時期に合わせて狙うカニを選べるように、はじめに四大カニの基本をそろえておきます。ここを押さえるだけで、現地でメニューを開いたときの迷いが大きく減ります。以下の比較表で、種類ごとの違いをひと目で確認できます。

北海道の四大カニ比較表

タラバ・ズワイ・毛ガニ・花咲ガニ、四大カニの違い

北海道で味わえるカニは、大きく四種類に分かれます。それぞれ体つきも味の方向性も異なるので、まず全体像をつかむと選びやすくなります。タラバガニは太い脚にぎっしり身が詰まり、食べごたえで群を抜く「王様」的な存在です。じつは生物としてはヤドカリに近い仲間で、脚の対の数がズワイやモクズと違うのも豆知識のひとつです。

毛ガニは体こそ小ぶりですが、濃厚なカニ味噌を目当てにする人が多い種類です。全身の細かな毛が名前の由来で、味噌と身を一緒に和えて味わうのが定番になっています。ズワイガニは細長い脚が特徴で、身はみずみずしく上品な甘みがあり、鮮度が良ければ刺身でも楽しめます。花咲ガニは根室・釧路の周辺でしか揚がらない希少なカニで、茹でると赤く色づき、濃い旨みとぷりぷりした食感が持ち味です。

「脚の食べごたえならタラバ、味噌なら毛ガニ、繊細な甘みならズワイ、濃い旨みなら花咲」と覚えておくと、目的に合わせて選べます。四種類がそろって揚がること自体が、北海道でカニを食べる大きな価値です。まずは食べたい味の方向を決め、そこから旬と産地をたどっていくと、現地でもオンラインでも失敗が少なくなります。

◆とかいかんのワンポイント

種類で迷ったら、まず「脚か、味噌か」で二つに分けると決めやすくなります。脚の食べごたえを取るならタラバやズワイ、濃厚な味噌を取るなら毛ガニや花咲、という分け方です。旅の時期に旬が重なる種類を優先し、そのうえで脚か味噌かの好みで絞ると、現地でも通販でも選び損ねが減ります。

タラバガニの旬は冬から春と秋、太い脚に濃厚な甘み

タラバガニの旬は、冬から春にかけての1〜5月と、秋の9〜10月の年2回とされています。とくに流氷が明ける3〜5月は身入りが良く、太い脚を割ったときの満足感が高い時期です。タラバは水温10度以下の冷たい海でないと生息できないため、寒い海域を持つ北海道は本来この種類と相性の良い土地といえます。

味わいの中心は、脚の身のほぐれの良さと、噛むほどに広がる淡い甘みです。ヤドカリに近い仲間のためカニ味噌はほとんど楽しめず、味噌を目当てにするなら毛ガニへ切り替えるのが賢い選び方になります。調理は、ボイルで素材の甘みを引き出すほか、殻ごと炙る焼きガニ、出汁にくぐらせるしゃぶしゃぶにすると、太い脚の持ち味がよく出ます。

後ほど詳しく触れますが、道内で提供されるタラバの多くは輸入ものです。それでも産地や旬を知っておくと、メニューの産地表示を読み解きやすくなり、納得して注文できます。値の張る種類なので、食べ放題で量を楽しむのか、一杯をじっくり味わうのかを先に決めておくと選びやすくなります。食べごたえ重視ならタラバ、と押さえておけば大きく外しません。

選ぶときは、脚の一本一本が太く、殻を持ったときにずしりと重いものが身入りの目安になります。一杯まるごとより、脚だけの姿で売られることも多く、用途に合わせて選べます。焼きやしゃぶしゃぶで一本を贅沢に味わうか、ボイルで数種類と食べ比べるかで、頼む量も変わってきます。予算と食べ方を先に決めておくと、現地でも通販でも判断が早くなります。

毛ガニは通年で楽しめ、濃厚なカニ味噌が主役

毛ガニは、産地となる漁港をずらしながら一年を通して水揚げされるのが大きな特徴です。北海道の毛ガニ漁獲量は四大カニのなかで最も多く、年間およそ1,550トンにのぼります。春はオホーツク海、夏は函館の北に広がる噴火湾、秋は根室・釧路の沿岸、冬は十勝沿岸と、季節ごとに主産地が移っていくため、いつ旅しても出会いやすいカニです。

毛ガニの魅力は、なんといっても濃厚なカニ味噌にあります。身も繊細で甘く、殻に味噌と身を戻して和える食べ方は現地の定番です。港で水揚げ直後に浜茹でしたものは香りが立ち、専門店ではこの浜茹での毛ガニを会席で出す店もあります。味噌まで含めて一杯を余さず楽しみたい人には、毛ガニがよく合います

通年で手に入るぶん、旅の時期が決まっていて種類を選べない場合の軸としても便利です。まず毛ガニを押さえておけば、季節を問わず安定して満足しやすくなります。産地表示を見て、旅の行き先に近い港のものを選ぶと、その土地の海を味わう感覚も一緒に楽しめます。サイズ表記が大きいほど身入りが期待できますが、そのぶん値も上がる点は覚えておくと選びやすくなります。

毛ガニは殻がやわらかめで、家庭でもほぐしやすいのが利点です。味噌を殻に残したまま身と和えると、専門店で味わうような濃い一口を家でも再現できます。旅先で気に入った産地のものを、後から取り寄せて楽しむ人も少なくありません。通年で流通するぶん、贈り物としても選びやすく、季節を問わず北海道らしさを届けられます。

花咲ガニは根室と釧路でしか揚がらない夏の味

花咲ガニは、太平洋沿岸の道東沖、えりも岬から根室市の花咲港にかけての海域でしか揚がらない希少なカニです。旬は夏で、とくに7〜9月に身が充実します。名前は水揚げの中心地である根室の花咲にちなむとされ、昆布を食べて育つため旨みが濃いのが持ち味です。根室の市街から花咲港までは車でおよそ15分と近く、夏に道東を旅するなら現地で味わう価値のある一杯です。

見た目はタラバに似ていますが、殻のトゲが鋭く、味はより濃厚で、身にはぷりぷりとした弾力があります。旨みが強いので、身と味噌を落とした味噌仕立ての汁物「鉄砲汁」にすると、出汁まで余さず楽しめます。漁期が短く出回る量も限られるため、旬を外すと現地でも出会いにくく、見かけたら迷わず頼みたい一杯です。

花咲ガニは、身をほぐして味わうだけでなく、殻の内側に詰まった旨みを汁物で引き出すと真価が分かります。濃い出汁が好きな人ほど満足しやすい種類です。四大カニのなかでも産地と旬がはっきり限られているぶん、時期と場所を合わせて味わえたときの満足度は格別です。夏の道東の旅と組み合わせる価値のある一杯といえます。

花咲ガニを狙うなら、夏の道東という時期と場所をそろえるのが近道です。根室を拠点に据えると、納沙布岬めぐりや周辺の海の幸とあわせて回りやすくなります。エリアの回り方は根室市の観光と花咲ガニのまとめもあわせて確認すると、旅程が立てやすくなります。

ズワイガニは春が旬で、刺身にも向く繊細な身

ズワイガニの旬は、おもに春の3〜6月と、初冬の11〜12月です。北海道では利尻・礼文沖や江差沖、紋別などで水揚げされます。すらりと細長い脚が目印で、身はみずみずしくほどけやすく、繊細な甘みがあります。同じズワイでも、日本海側でブランド化された松葉ガニや越前ガニと生物としては同じ種で、産地の呼び名が違うだけという点も知っておくと面白い一杯になります。

ほかの産地のブランドズワイと比べると、北海道産は価格が控えめな傾向があります。鮮度が良ければ刺身で味わえるのもズワイの魅力で、加熱すると凝縮する甘みと、生で味わう澄んだ旨みの両方を楽しめます。脚の身をしゃぶしゃぶにすると、半生のとろける食感が引き出せます。上品な甘みをじっくり味わいたい人にはズワイガニが向いています。

漁期が比較的短いので、狙うなら春か初冬に時期を合わせるのが確実です。毛ガニやタラバと食べ比べると、身質や甘みの違いがはっきり分かって面白くなります。まずは数種類を少しずつ味わえるセットを選び、自分の好みの方向を見つけてから、次の旅で狙いを絞っていく楽しみ方もできます。

いつ・どのカニを狙うかを早見表で確認

ここまでの旬を、月ごとの早見で整理します。狙いのカニと旅の時期が重なる月を選ぶと、身入りの良い一杯に出会いやすくなります。下のカレンダーと表を見比べると、時期と種類の関係が一目で分かります。

カニの種類別の旬カレンダー
種類 旬の時期 主な産地 味の傾向
タラバガニ 1〜5月・9〜10月 稚内・オホーツク 太い脚に濃厚な甘み
毛ガニ 通年(産地で変動) 全道各地 濃いカニ味噌が主役
ズワイガニ 3〜6月・11〜12月 利尻礼文沖・紋別 繊細で刺身にも向く
花咲ガニ 7〜9月 根室・釧路 濃厚でぷりぷりの身

早見表の使い方

旅の時期が先に決まっているなら、その季節に旬を迎えるカニから選ぶのが失敗しないコツです。時期を選べるなら、流氷明けの春はタラバ、夏は花咲というように、旬と産地を重ねて計画すると満足度が上がります。どれか一つに絞れないときは、通年の毛ガニを軸に据えると安定します。

北海道でカニを食べるなら、どこで食べるかで満足度が変わる

同じカニでも、市場で気軽に味わうのか、専門店で腰を据えて堪能するのかで体験は大きく変わります。予算や旅程、そして「何を一番楽しみたいか」に合わせて場所を選ぶのが、後悔しない食べ方です。ここでは代表的な四つの選び方を、それぞれの向き不向きとあわせて見ていきます。

カニを食べる四つの方法の図

市場で食べる、函館朝市・札幌二条市場・釧路和商市場

手軽さと鮮度を両立したいなら、市場で味わうのが北海道らしい選び方です。函館朝市、札幌二条市場、釧路和商市場は北海道三大市場と呼ばれ、いずれも旅程に組み込みやすい立地にあります。函館朝市はJR函館駅からすぐ、二条市場は札幌の中心部にあり大通やすすきのから歩けます。和商市場はJR釧路駅から徒歩およそ10分です。

市場の利点は、店頭に並ぶ実物を見て選べることと、その場で茹でてもらったり丼にしてもらったりできる気軽さにあります。時期に応じて毛ガニ・ズワイ・タラバ・花咲が並び、旅の途中で立ち寄って一杯だけ味わう、といった使い方もできます。多くの市場は朝から昼にかけてが本番なので、午前のうちに訪ねると品ぞろえが豊富です。まずは北海道のカニを気軽に体験したい人に、市場は最初の一歩として向いています

市場は観光客だけでなく地元の台所としても機能しており、値段の相場観をつかむ場としても役立ちます。数軒を見比べてから決められるので、はじめての土地でも落ち着いて選べます。カニだけでなく、ウニやイクラ、ホタテといった海の幸全般を少しずつ楽しみたいときにも便利な場所です。旅の早い段階で市場をのぞいておくと、その後の食事選びの判断が楽になります。北海道の市場の位置や見どころは北海道公式観光サイトの和商市場の案内でも確認できます。

釧路和商市場の「勝手丼」という食べ方

釧路和商市場には、自分だけの海鮮丼を作れる「勝手丼」という名物の食べ方があります。まず総菜店でご飯を買い、鮮魚店を巡って好きな切り身やカニの身を少しずつのせて仕上げるスタイルです。1954年に開かれた和商市場は釧路でもっとも歴史ある市場で、函館朝市・札幌二条市場と並ぶ三大市場の一つとして、釧路市民の台所を長く支えてきました。

勝手丼は、1980年代にツーリングで釧路を訪れた若い旅行者に、新鮮な海の幸を安く楽しんでもらおうと始まったと伝えられています。予算に合わせて具を選べるので、カニの身をひと切れだけ贅沢にのせる、といった楽しみ方もできます。ご飯の大きさを選び、気になる具を一品ずつ足していく過程そのものが旅の体験になり、同じ丼は二つとありません。

釧路は湿原や幣舞橋といった見どころとも近く、市場と観光を一日で回りやすい町です。周辺の巡り方は釧路市の観光と和商市場のまとめにも整理しています。市場での食べ方は、和商市場の勝手丼の公式案内も参考になります。

札幌すすきのの専門店と食べ放題でじっくり味わう

腰を据えてカニを堪能したいなら、札幌すすきのの専門店や食べ放題が有力な選択肢です。すすきのには、かに会席の老舗から、毛ガニ・ズワイ・タラバをそろえた食べ放題の店まで幅広くそろっています。1963年創業の郷土料理店のように、港で浜茹でした毛ガニを会席で味わえる店も残っており、北海道各地から厳選した食材を一度に楽しめます。

専門店の良さは、下処理された食べやすい状態で、複数の種類や調理法を一度に味わえることにあります。ボイル・焼き・しゃぶしゃぶ・鍋と、同じカニでも違う顔を楽しめます。食べ放題は時間制の店が多く、予算が読みやすいので、いろいろな種類を心ゆくまで比べたい人に向いています。人気店は混み合うため、時期によっては予約しておくと確実です。

新千歳空港から札幌すすきのまでは、JRの快速と地下鉄を乗り継いでおよそ50分と、旅の初日や最終日にも組み込みやすい距離です。市街地のど真ん中で本格的なカニを味わえること自体が、じつは港と物流が集まる札幌ならではの体験です。市内の回り方は札幌観光とすすきの周辺の回り方もあわせてどうぞ。

産地の港町で食べる、根室・稚内・網走

鮮度と旅情を両取りしたいなら、産地の港町まで足を延ばして味わうのが醍醐味です。根室は花咲ガニ、稚内や網走・オホーツク沿岸は毛ガニと、その土地ならではのカニに出会えます。漁期に合わせて訪ねれば、水揚げされたばかりの一杯を、産地の空気とともに味わえます。網走は流氷とオホーツクの海が育む海産の町で、毛ガニの主産地の一つです。

港町で食べる価値は、単に鮮度が高いというだけではありません。その土地がなぜそのカニで知られるのか、海の環境や漁の歴史といった背景ごと味わえるところにあります。稚内は日本最北の宗谷岬、根室は本土最東端の納沙布岬と、地の果てを訪ねる旅とカニがひとつながりになり、食事が旅の目的そのものになります。

一方で、港町は札幌から距離があり、移動に時間がかかる点は考えておく必要があります。稚内や根室へは、札幌から車や特急で数時間、あるいは空路を使う旅程になります。旅程に余裕があるときや、その土地のカニをどうしても現地で食べたいときにこそ映える選び方です。無理に詰め込まず、一日を港町にあてる計画にすると満足度が高まります。

港町が産地として知られるのには、海の環境と歴史の裏づけがあります。冷たい海が良質なカニを育て、古くからの漁とともに、水揚げ・加工・出荷の仕組みがその町に根づいてきました。だからこそ、同じ毛ガニでも産地の港で味わうと、背景の物語ごと一杯を楽しめます。現地では、地元の人がすすめる旬の一杯を尋ねてみると、その土地ならではの食べ方に出会えます。

実は「北海道のカニ」の多くは輸入もの、という話

ここで、旅行者が意外に感じやすい事実に触れておきます。道内で食べるタラバガニの多くは、実は輸入ものです。北海道内のタラバ漁獲量は約290トン(2022年)にとどまる一方、タラバの輸入は冷凍だけでも約3,000トン(2023年)にのぼります。日本で流通するタラバの約9割が、ロシアやアメリカ、ノルウェーなどの外国産という統計もあります。下のグラフは、その差の大きさを示したものです。

道内漁獲と輸入量の棒グラフ

では、なぜ北海道が「カニの本場」であり続けるのでしょうか。種明かしは、港と物流と加工という土台にあります。タラバは水温10度以下の冷たい海の生き物で、日本の海域で獲れる量には限りがあります。そこで稚内や釧路、網走といった港が、道内外や国外の水揚げを受け入れ、茹でと冷凍と加工を経て全国と観光客へ送り出す集散地の役割を担ってきました。カニを見極める目利き、鮮度を保つ茹での技術、コールドチェーンと呼ばれる冷凍物流網が集まっているからこそ、「北海道で食べるカニはうまい」という評価が支えられています。

◆とかいかんのワンポイント

「北海道のカニは地元の海の恵み」というイメージは、半分は本当で、半分は港の仕事です。稚内や釧路の港が国内外の水揚げを束ね、加工と冷凍で全国へ送り出してきたからこそ、道内のどこでも良質なカニに出会えます。自然の豊かさと都市の物流が重なった産物、という見方をすると、一杯の背景が立体的に感じられます。

これは、大自然のイメージと都市機能が二重写しになる、北海道らしい構図です。オホーツクや根室の海という原生の自然と、それを受けとめる港や市場という都市の仕組みが、同じ一杯の中に同居しています。「北海道のカニ」は、自然の恵みと人の手が重なって初めて食卓に届くという視点を持つと、産地表示の見え方も変わってきます。旬別のさらに詳しい解説は北海道ぎょれんのカニの旬コラムも参考になります。

値段の相場と、国産・輸入の見分け方・選び方

カニの値段は、種類・サイズ・国産か輸入か・時期によって大きく動きます。希少な花咲ガニや、身入りの良い時期の大型タラバは高くなりやすく、比較的手が届きやすいのは北海道産のズワイや小ぶりの毛ガニです。近年はロシア産のイバラガニのように、タラバに近い見た目でおよそ3割安い選択肢も出回っており、用途によってはこうした種類も候補になります。

国産と輸入を過度に気にする必要はありませんが、納得して選ぶための見分け方はあります。産地表示や解凍の有無を確認し、店の人に旬や産地を尋ねてみると、その一杯の背景が分かります。生とボイル、原料原産地の表示も判断材料になります。大切なのは「国産だから良い」ではなく、目的と予算に合った一杯を選ぶことです。食べ放題で量を楽しむのか、産地の一杯を味わうのかで、選ぶべき方向は変わってきます。

「訳あり」を選ぶときの注意

相場から極端に安い「訳あり」表示には、脚折れや水分過多、サイズ不揃いなどの理由がある場合があります。自宅でほぐして使うなら無駄になりませんが、贈答や特別な席に用いるなら、身入りの状態を確認してから選ぶと安心です。

時期・種類・予算の三つを先に決めておくと、現地でもオンラインでも迷いにくくなります。相場観は市場で数軒を見比べるとつかみやすく、旅の早い段階で市場をのぞいておくと、その後の判断が楽になります。まとめて味わいたいなら食べ放題、質を確かめたいなら専門店や信頼できる店、という具合に用途で入口を分けるのがおすすめです。

グレードの見方も覚えておくと選びやすくなります。同じ種類でも、大きさや身入り、脚の欠けの有無で価格帯は分かれます。浜で茹でてすぐ凍らせた浜ゆで冷凍は、鮮度と手軽さのバランスが良く、家庭向きの選び方です。生の脚は調理の幅が広い反面、扱いに手間がかかります。用途に合うグレードを選べば、値段以上の満足につながります。

通販・お取り寄せで北海道のカニを家で味わう

現地まで行けないときや、時期を気にせず選びたいときは、通販・お取り寄せという方法もあります。四大カニを冷凍で取り寄せれば、遠方でも北海道の味を家で楽しめます。旬の時期にまとめて確保しておけば、季節を問わず食卓に出せるのも利点です。前もって用意しておけば、来客や祝いの席にも慌てず対応できます。

家で味わうときは、急がず冷蔵庫でゆっくり解凍するのが基本で、急激に常温で戻すと旨みが流れ出やすくなります。ボイル済みのものはそのまま、生の脚は焼きやしゃぶしゃぶにすると持ち味が出ます。種類の食べ比べセットを選ぶと、旅に行く前の予習にも、行った後の余韻にもなります。半解凍の状態で切り分けると扱いやすいので、生の脚を調理する際に覚えておくと便利です。

通販は、産地や加工の情報が表示に残るので、これまで見てきた旬や産地の知識をそのまま生かせます。現地で気に入ったカニを後から取り寄せる、という旅とのつなげ方もできます。送料や配送時期を含めて比べると、無理なく北海道の味を続けられます。まずは少量のセットから試し、好みが定まってから狙いのカニを厚めに頼むと失敗が少なくなります。

調理法で選ぶ、ボイル・焼き・しゃぶしゃぶ・鍋

同じカニでも、調理法を変えると驚くほど表情が変わります。もっとも素材の甘みを感じやすいのはボイルで、茹でたての湯気ごと味わうのが王道です。殻ごと炙る焼きガニは、香ばしさと凝縮した旨みが立ち、タラバの太い脚と相性の良い食べ方です。身の入り具合や解凍の状態に合わせて調理を選ぶと、そのカニの持ち味を引き出せます。

しゃぶしゃぶは、生の脚をさっと湯にくぐらせて、半生のとろける食感を楽しむ食べ方です。ズワイやタラバの脚に向き、〆に雑炊まで楽しめます。毛ガニや花咲ガニは、味噌の濃さを生かして鍋や汁物にすると、出汁まで余さず味わえます。花咲ガニの鉄砲汁はその代表で、身と味噌の旨みが汁全体に溶け出します。

専門店ではこうした調理を一度に食べ比べられ、家庭でも解凍後に取り分けて楽しめます。迷ったら、ボイルで素材を確かめてから、焼きやしゃぶしゃぶへ広げると、そのカニの本来の味がよく分かります。種類と調理法の組み合わせを覚えておくと、現地でメニューを選ぶときにも家で味わうときにも役立ちます。

まとめ|北海道でカニを食べるなら、旬と場所を合わせる

北海道でカニを食べるなら、狙う種類の旬と、食べる場所を重ねて計画するのが満足への近道です。脚の食べごたえならタラバ、味噌なら毛ガニ、繊細な甘みならズワイ、濃い旨みなら花咲と、目的に合わせて種類を決め、その旬に旅の時期を寄せていきます。時期を選べないときは、通年で味わえる毛ガニを軸にすると安定します。

食べ方は、気軽さの市場、じっくりの専門店、旅情の港町、手軽さの通販と、楽しみたいものによって選び分けられます。そして「北海道のカニ」は、原生の海と、港や市場という都市の仕組みが重なって食卓に届く一杯です。自然の恵みと人の手の両方を味わうつもりで選ぶと、同じ一杯がより豊かに感じられます。旬と場所を合わせて、北海道でカニを食べる旅を組み立ててみてください。

北海道のカニに関するよくある質問

北海道でカニを食べるなら、何月がおすすめですか

狙う種類によって変わります。流氷が明ける3〜5月は身入りの良いタラバガニ、夏の7〜9月は根室・釧路の花咲ガニが旬を迎えます。毛ガニは産地をずらしながら通年で揚がるため、時期を選べない旅では毛ガニを軸にすると安定して楽しめます。旅の時期が先に決まっているなら、その季節に旬を迎えるカニから選ぶのがおすすめです。

北海道で一番おいしいカニはどれですか

好みによるため一概には決められませんが、方向性で選ぶと分かりやすくなります。太い脚の食べごたえならタラバガニ、濃厚なカニ味噌なら毛ガニ、繊細で上品な甘みならズワイガニ、濃い旨みとぷりぷりの食感なら花咲ガニが向いています。数種類を少しずつ味わえるセットや食べ放題で、自分の好みを確かめるのも良い方法です。

市場と専門店では、どちらでカニを食べるのが良いですか

楽しみたいものによって選び分けます。旅の途中で気軽に、実物を見て選びたいなら市場が向いています。複数の種類や調理法を腰を据えて味わいたい、予算を読みたいという場合は専門店や食べ放題が便利です。市場で相場観をつかんでから専門店を訪ねる、という組み合わせも無理がありません。

北海道で食べるカニは、国産と輸入のどちらが多いですか

種類によります。とくにタラバガニは、日本で流通する量の約9割が外国産という統計もあり、道内で食べるものも輸入が多くを占めます。これは稚内や釧路などの港が、加工と物流の拠点として道内外の水揚げを受け入れてきたためです。産地表示を確認しつつ、目的と予算に合った一杯を選ぶのが、納得のいく食べ方です。