こんにちは、駅ナカ駅マエ北海道のとかいかんです。

札幌の中心部を歩くと、背の高いビルが次々と目に入ります。駅前にそびえるJRタワーがあります。大通には新しい複合ビルが続きます。今も建設中の現場をあちこちで見かけます。札幌はなぜこれほど高層ビルの集まる街になったのでしょうか。

この疑問には、はっきりとした歴史の流れがあります。大きなきっかけは1972年の冬季オリンピックでした。その時に整えられた街の骨格が半世紀をかけて今の高層ビル群につながっています。

この記事では公式の資料と公開データをもとに、札幌の高層化を五輪期から現在の建て替えまで順にたどります。読み終えるころには、見慣れた街並みの意味が少し変わるはずです。

  • 札幌に高層ビルが多い理由の全体像
  • 冬季五輪が街の骨格を作った流れ
  • JRタワーと駅前で進んだ高層化
  • 五輪期の建物の老朽化と建て替え

結論から言うと、札幌の高層化は突然始まったものではありません。1972年の冬季オリンピックに向けて地下鉄や地下街が整いました。都心に人と機能が集まる土台がこの時にできます。その建物の多くが今、更新の時期を迎えています。そこへ北海道新幹線の札幌延伸が重なりました。駅前を中心に再開発が一気に進んでいます。広い北海道の中で中心を一か所に集めてきた結果が、高層ビル群となって表れているのです。

札幌に高層ビルが多い理由の要点

札幌に高層ビルが多い理由の要点の要点

まず全体像をつかんでおきます。札幌の高層化は、一つの理由だけで説明できるものではありません。人を集める都市の仕組みと冬という土地の事情が重なっています。ここでは大きな流れを先に押さえます。

都心へ人と機能を集めてきた街

北海道は日本の国土の約2割を占める広さがあります。面積は東京都のおよそ38倍にあたります。これほど広い土地に、人口は約505万人が暮らしています。人口密度は全国で最も低い水準です。

広い土地に人がまばらに住むと、役所や会社や病院を各地に置くのは難しくなります。そこで北海道は、札幌という一つの都市に機能を集めてきました。札幌市の人口は約197万人です。道内の人口のおよそ4割が集まっています。行政も経済も交通も、この一点に重なります。

土地が限られた中心部に多くの機能を詰め込むと、建物は上へ伸びるしかありません。横に広がれない都心が、高さを選んだのです。札幌に高層ビルが多い背景には、まずこの一極集中があります。

なぜこれほど札幌に人が集まるのかは、別の記事でくわしくまとめています。あわせて北海道の人口ランキングと札幌集中の理由も読むと、この記事の背景が見えてきます。

冬の暮らしが後押しした集まる力

札幌の冬は寒さと雪が厳しい土地です。この気候も街が一か所に集まる理由の一つです。雪が多い地域では、人や施設が散らばっているほど除雪や移動の負担が増えます。中心に機能がまとまっていれば、冬の暮らしは回しやすくなります。

札幌はこの考え方を街づくりに取り入れてきました。地下街や地下通路で建物どうしをつなぎ、雪の日でも歩ける空間を広げています。地上が雪でも地下は平気です。冬の寒さに負けない都心を作るために、建物を近づけて立体的につないだのが札幌の特徴です。

こうした地下の仕組みも、もとをたどれば五輪期の都市整備から生まれています。次の章でくわしく見ていきます。

札幌に高層ビルが多い背景は、二つの力の重なりです。一つは広い北海道の中心を札幌に集めてきた力です。もう一つは雪の厳しい冬に備えて都心をまとめてきた力です。この二つが建物を上へと押し上げてきました。

冬季五輪が札幌の街を変えた

冬季五輪が札幌の街を変えたの要点

札幌の高層化を語るうえで外せないのが1972年の冬季オリンピックです。この大会の準備が、札幌の都心をまるごと作り替えました。今の街並みの土台は、この数年間に一気に整えられたものです。

1972年に向けて進んだ都市整備

札幌で冬季五輪を開くことが決まったのは1966年でした。アジアで初めての冬季大会です。開催が決まると、札幌の街は急ピッチで姿を変えていきます。

この時期に整えられたものは数多くあります。地下鉄が新しく通りました。地下街が開業しました。市役所の新しい庁舎も建ちました。地域暖房の仕組みも導入されています。札幌市の資料には、関連施設や庁舎や地下鉄などが整い都心の様相が一変したと記されています。

同じ1972年に札幌は政令指定都市へと移りました。人口の増加と街の成長に、行政の仕組みが追いついた形です。五輪は競技の場であると同時に、都市を一段上へ押し上げる節目でした。

じつは札幌は1940年にも冬季大会の開催地に決まっていました。しかし当時の戦争の影響で、この大会は返上されています。幻に終わった大会から32年後に札幌はようやく冬季五輪を実現しました。この回り道も札幌の都市史の一コマです。

地下鉄と地下街が都心を立体化した

五輪に向けた整備の中でも、特に大きかったのが地下の開発です。1960年代の札幌は車の渋滞が深刻でした。そこへ選手と観客を会場へ運ぶ必要が加わります。この二つの課題を解くために、地下鉄の建設が決まりました。

地下鉄の南北線は1971年に開業しました。地下街のオーロラタウンとポールタウンも、同じ1971年に開業しています。その後も地下鉄は延びていきます。東西線は1976年、東豊線は1988年に開通しました。札幌の地下は、五輪をきっかけに骨格ができあがりました。

地下に人の流れができると、その出入口の上に大きなビルを建てる価値が生まれます。駅や地下街とつながった高層ビルなら、雪の日でも人を集められます。地下の整備と地上の高層化は切り離せない関係にあるのです。

地下鉄がこの街に生まれた経緯は、札幌に地下鉄がある理由でも掘り下げています。五輪と街づくりのつながりが、より立体的に見えてきます。

◆とかいかんのワンポイントアドバイス

札幌の地下街を歩くと、ただの通路に見える場所がとても広いことに気づきます。これは雪対策であり、同時に五輪期に整えた都市の土台でもあります。地上のビルだけでなく地下の広がりにも目を向けてみてください。札幌が計画的に作られた街だと実感できます。

五輪が残した都市の骨格

1972年の大会そのものは十数日で終わりました。しかし、その準備で作られた街の形は半世紀を超えて残っています。地下鉄の路線や地下街の広がりが今も使われています。都心に集まったビル群も当時の計画の延長にあります。これらは今の札幌の背骨になっているのです。

ただし、半世紀という時間はビルにとって長い年月です。この時に建った建物の多くが、今では古さの問題を抱えています。その話は後ほどの章でくわしく取り上げます。

札幌駅前から広がった高層化

札幌駅前から広がった高層化の要点

五輪で都心の骨格ができたあと、札幌の高層化を次の段階へ進めたのが札幌駅前の開発です。駅の上に大きなビルが建ち、街の玄関口が生まれ変わりました。ここでは駅前を中心に高層ビルが増えてきた経緯を見ていきます。

JRタワーが作った新しい玄関口

札幌駅の南口の上には、JRタワーがそびえています。高さは173メートル、38階建てです。2003年に開業しました。これは今も札幌でいちばん高いビルです。

JRタワーが建つ前、札幌で最も高い建物はホテルエミシア札幌でした。高さは約115.8メートルです。1996年から2003年まで首位にありました。JRタワーの登場で、札幌の空の高さは一気に60メートル近く伸びました。駅の上に街のシンボルが立ったわけです。

38階には展望室の「T38」があります。地上160メートルほどの高さから、札幌の街を360度見渡せます。高層ビルがなぜ街のシンボルになるのか、その答えが眺めの中にあります。

札幌には、このT38のほかにも夜景や街並みを楽しめる展望スポットがいくつもあります。無料の場所と有料の場所を札幌の高層ビル展望台おすすめで比べているので、街を上から眺めたい方はのぞいてみてください。

駅前に集まるオフィスとホテル

高いビルが一本建つと、その周りに新しい動きが生まれます。駅に近い土地は、会社にとっても店にとっても価値が高い場所です。そこへオフィスやホテルや商業施設が集まってきます。札幌駅前は、こうして高層のビルが連なる一帯へと育ちました。

駅前が高層化すると、人の流れはさらに中心へ集まります。中心に人が増えれば土地の値段も上がります。札幌の地価がなぜ高いのかは、この高層化の流れと深くつながっています。

その関係については、札幌の地価はなぜ高いのかで高層ビルや通勤の面から考えています。高層化と地価はコインの裏表のような関係です。

札幌の主な高層ビルの比較

札幌の高層ビルを高さと完成年で並べると、街の変化がよく見えてきます。下の表は公表されている数字をまとめたものです。計画段階のものは今後変わる場合があります。あくまで目安として見てください。

建物・計画 高さ 階数 完成・予定 用途の中心
JRタワー 約173m 38階 2003年 駅・商業・ホテル
さっぽろ創世スクエア 約124m 28階 2018年 事務所・文化施設
ホテルエミシア札幌 約115.8m — 1996年 ホテル
大通西4南地区(計画) 約185m 36階 2028年度予定 複合施設
北5西1・西2地区(計画) 約245m規模の構想 — 2034年度予定 複合施設

数字を見ると、完成年が新しいほど高さが伸びているわけではない点に気づきます。高さだけでなく用途や立地によって建物の形は変わります。それでも計画中のビルがJRタワーを超える高さを目指しています。札幌の空の天井は、これからまだ上がる見込みです。

高層ビルの老朽化と建て替え

高層ビルの老朽化と建て替えの要点

札幌の高層化には、もう一つの新しい局面があります。それが老朽化です。五輪期に建った建物が、いっせいに古くなる時期を迎えています。ここでは建て替えが進む理由を見ていきます。

五輪期の建物が迎える更新期

1972年の前後に建った建物は、すでに半世紀ほどの年月を経ています。建物にも寿命があります。配管や設備は古くなり、見た目も時代に合わなくなります。札幌市の都心まちづくりの資料でも、都心部の多くの建物が建て替えの更新時期を迎えていると説明されています(出典:札幌市)。

古い建物をそのまま使い続けると、安全や快適さの面で問題が出てきます。そこで建て替えの道が選ばれます。老朽化は、札幌の高層化を今も動かしている現在進行形の理由です。過去の話ではありません。

耐震と省エネが促す再開発

建て替えが進むのは古さだけが理由ではありません。今の時代に求められる性能が、昔の建物では足りないという事情もあります。大きいのは地震への備えとエネルギーの効率です。

古いビルを一棟ずつ耐震改修するより、建て替えてまとめて新しくするほうが合理的な場合があります。新しいビルは断熱や空調の効率も高くなります。雪国の札幌では光熱費の差も小さくありません。札幌市の資料でも、耐震性や環境性能に対応した再開発が進んでいるとされています。だから老朽化と再開発は、同じ流れの表と裏なのです。

一つ気をつけたい点があります。高層ビルが増えること自体が、街の発展をそのまま示すわけではありません。北海道新聞の報道では、新幹線延伸を見据えたオフィス供給が過剰になる心配も指摘されています。ビルの数や高さだけで街の勢いを決めつけないほうが賢明です。

北海道新幹線の延伸が再開発を加速

いま札幌の再開発を大きく後押ししているのが、北海道新幹線の札幌延伸です。開業は2030年度が予定されています。新幹線が札幌まで届けば、人の流れと街の価値は大きく変わります。その日に向けて、駅前では大きな工事が次々と動いています。

象徴的なのが札幌駅のとなりで進む北5西1・西2地区の再開発です。商業施設エスタの跡地には、JRタワーを超える高さの複合ビルが計画されています。当初の開業予定は2028年度でした。ただし計画の見直しがあり、竣工は2034年度へと後ろ倒しになりました。大きな事業だけに、計画が動くこともあります。

大通周辺でも動きがあります。高さ185メートル規模の複合ビルの計画が進んでいます。駅前から大通へと、高層の再開発が帯のように広がっているところです。札幌の中心は、この数年で大きく姿を変えようとしています。

駅前の再開発がどんな考えで進んでいるのかは、札幌市のまちづくり計画の概要で公開されています(出典:札幌市)。計画の全体像を知りたい方は目を通すと参考になります。

◆とかいかんのワンポイントアドバイス

札幌駅の周りを歩くと、あちこちで工事の囲いを見かけます。少し不便に感じるかもしれません。でも、この光景は五輪期に作った街が次の時代へ更新されている証です。数年後に訪れると、また違う景色に出会えるはずです。

高層ビルから読み解く札幌の今

ここまで歴史をたどってきました。最後に、高層ビルを通して今の札幌をどう見るかをお話しします。ビルは単なる建物ではありません。街の仕組みと歴史が形になったものです。

展望スポットで街の重心を見る

札幌の高層ビルは街を見下ろす場所でもあります。JRタワーのT38など、展望スポットに上ってみてください。中心にビルが密集し、外へ行くほど低くなる様子がわかります。この形こそ人と機能を中心に集めてきた札幌の答えです。

歴史を知ると街歩きが面白くなる

同じビルでも、できた時代を知ると見え方が変わります。五輪期に建った古いビルがあります。2003年に開業したJRタワーがあります。これから建つ超高層のビルもあります。札幌の中心には半世紀分の時間が層になって重なっているのです。

次に札幌を訪れるとき、ビルの高さや古さに少しだけ目を向けてみてください。なぜここにこの建物があるのかを考えます。その理由が歴史とつながって見えてきます。街歩きが、ぐっと面白くなるはずです。

◆とかいかんのワンポイントアドバイス

建物の完成年は、多くの場合そのビルの公式サイトや札幌市の資料で確認できます。気になるビルを見つけたら名前で調べてみてください。いつ建ったのかがわかると、その時代の札幌が見えてきます。

札幌の高層ビルに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 札幌に高層ビルが多いのはなぜですか?

A. 広い北海道の中で、人と機能を札幌の都心に集めてきたからです。限られた土地に多くの施設を置くと、建物は上へ伸びます。さらに1972年の冬季オリンピックを機に都心の骨格が整いました。その後の駅前開発と重なって高層化が進みました。

Q2. 札幌でいちばん高いビルはどれですか?

A. 2026年の時点では、札幌駅の上に建つJRタワーです。高さは約173メートルで38階建てです。2003年に開業しました。ただし駅前では、これを超える高さの複合ビルの計画も進んでいます。

Q3. 札幌の高層ビルと冬季オリンピックはどう関係しますか?

A. 1972年の大会に向けて、地下鉄や地下街や新しい庁舎が一気に整備されました。これにより都心に人が集まる土台ができます。その土台の上に、後の高層ビルが建っていきました。今の街並みの出発点が五輪期の整備です。

Q4. 札幌で高層ビルの建て替えが増えているのはなぜですか?

A. 五輪期の前後に建った建物が、半世紀を経て古くなっているからです。耐震性や省エネの面で新しい基準に合わせる必要もあります。そこへ北海道新幹線の札幌延伸が重なり、駅前を中心に再開発が加速しています。

Q5. 高層ビルからの眺めはどこで楽しめますか?

A. JRタワー38階の展望室「T38」が代表的な場所です。地上160メートルほどの高さから、札幌の街を360度見渡せます。ほかにも無料や有料の展望スポットがあるので、目的に合わせて選ぶと楽しめます。

まとめ

札幌に高層ビルが多い理由を、歴史の流れに沿って見てきました。最後に要点を振り返ります。

  • 広い北海道の中で、人と機能を札幌の都心に集めてきた
  • 1972年の冬季五輪で地下鉄や地下街が整い、都心の骨格ができた
  • 2003年のJRタワー開業で、駅前の高層化が一段と進んだ
  • 五輪期の建物が老朽化し、新幹線延伸と重なって再開発が加速している

札幌の高層化は一日で起きたことではありません。半世紀をかけて積み重ねた都市づくりの結果です。そして今も、その歴史は駅前の工事現場で続いています。次に札幌を歩くときはビルの高さの向こうにある時間の層を思い浮かべてみてください。街の見え方が、きっと少し変わるはずです。