小樽と聞いて多くの方がまず思い浮かべるのは、寿司や海鮮丼、そして運河の風景だと思います。港町らしい魚介のイメージは、決してまちがいではありません。実際、小樽観光の主役は長らく寿司であり続けてきました。

ところが、地元の人が普段づかいで通う店をたどっていくと、寿司とは別に「ジンギスカンの名店」が小樽にしっかり根を張っていることが見えてきます。生ラムを七輪や専用鍋で焼かせる店が駅前の繁華街に集まり、観光客も並ぶ人気店になっているのです。寿司の街というイメージの裏に、羊肉の食文化がひっそりと重なっています。

この記事では、小樽でおすすめできるジンギスカンの名店を、肉や焼き方の個性とあわせて紹介します。さらに、なぜ寿司の街にジンギスカン文化が根づいたのかという背景まで、出典をたどりながら順番に整理していきます。

先に、この記事で分かることをまとめておきます。

  • 小樽でおすすめのジンギスカンの名店と、それぞれの肉や焼き方の特徴
  • 生ラムと味付けのどちらが小樽で主流かという店選びの軸
  • 寿司の街・小樽にジンギスカン文化が根づいた歴史的な背景
  • 観光の動線に合わせて立ち寄るためのエリアと予約のコツ

寿司だけでは見えてこない小樽のもう一つの顔を、羊肉という切り口からたどってみましょう。

小樽でジンギスカンがおすすめな理由と店の選び方

まずは、なぜ寿司の街でジンギスカンなのかという入口から入り、初めてでも迷わないための選び方の軸を先に押さえます。肉のタイプ、焼き方、予算、そして観光の動線という四つの物差しで見ていくと、たくさんある店の違いがすっきり整理できます。

小樽のジンギスカンの基礎データ

寿司の街・小樽に根づくジンギスカン

小樽は寿司の街であると同時に、ジンギスカンの名店がそろう街でもあります。観光ガイドの主役はどうしても寿司や海鮮丼になりがちですが、地元で長く愛される羊肉の店が、駅に近い繁華街を中心にいくつも営業を続けてきました。

これは「小樽=大自然と魚介」というイメージからすると、少し意外な事実かもしれません。けれど北海道では羊肉が身近な食材であり、小樽も例外ではなかったのです。港町だから魚介しかない、という思い込みをいったん外すと、街の食の奥行きが見えてきます。魚と羊、海と牧場という一見遠いもの同士が、同じ街の食卓で無理なく同居しているわけです。

観光客と地元の人とで、店の使い方が違うのも面白い点です。旅行者が寿司や海鮮に向かう昼の時間帯とは別に、地元の人は夜、仕事帰りや家族の集まりでジンギスカンの店へ足を運びます。同じ街のなかに、観光の顔と暮らしの顔が時間帯で入れ替わりながら共存しているのです。その暮らしの顔にそっとお邪魔できるのが、ジンギスカンという選択肢の魅力でもあります。

実際、グルメサイトを開くと小樽市内には十軒を超えるジンギスカンの店が並び、生ラムを看板にする専門店から、宴会向けの食べ放題の店までそろっています。寿司を食べに来たつもりが、夜は地元の人にまじってジンギスカンを囲む――そんな楽しみ方ができるのも、小樽という街の懐の深さです。

ここには、港町ならではの事情もあります。小樽はかつて北海道の海の玄関として栄えた商都で、大勢の人が行き交う繁華街が早くから育ちました。にぎわう街には、寿司だけでなく多彩な飲食店が集まるもので、羊肉を焼かせる店もその流れのなかで根を張っていきました。海の幸のイメージが強い街の裏側に、内陸の牧畜文化がしっかり食い込んでいるわけです。

この記事では、そうした店を「肉のタイプ」「焼き方」「使う場面」で整理していきます。まずは、なぜ北海道でこれほどジンギスカンが根づいたのか、その背景から見ていきましょう。理由が分かると、店選びの基準もはっきりしてきます。

なぜ北海道でジンギスカンが広まったのか

羊肉が北海道の食卓に定着した背景には、はっきりした歴史があります。きっかけは、軍服用の羊毛を国内でまかなうための綿羊飼育でした。第一次大戦のあとに羊毛の輸入が難しくなり、国の政策として羊が各地で飼われるようになったのです。

その拠点のひとつが北海道で、滝川や札幌の月寒には種羊場が置かれました。羊毛を取ったあとの羊肉をどう食べるかという工夫のなかから、中国の羊肉料理をもとにした焼き方が広まっていきます。羊毛のために飼われた羊が、やがて郷土料理の主役になったという流れです。この経緯は農林水産省の郷土料理としてのジンギスカンの解説にもまとめられています。

専門店の歴史をたどると、羊肉を出す店は昭和の初めごろに東京で始まったとされ、北海道で本格的に広まったのは戦後のことでした。札幌では戦後まもなく営業を始めた店が知られています。つまりジンギスカンは、どっしりした郷土料理のイメージのわりに、歴史としては意外と新しく、しかも各地で味付けや焼き方を変えながら根づいてきた、懐の深い料理なのです。小樽の店に流れる時間も、この大きな歴史の一部だと考えると、一皿の見え方が変わってきます。

北海道にジンギスカンが広まるまでの年表

広まる過程では、味の工夫も重ねられました。当初のマトンは肉質がかたく、特有の香りが日本人の口になじみにくかったため、甘辛いタレに漬け込む食べ方が生まれます。1956年ごろには滝川で漬け込みスタイルの店が知られるようになり、同じころ市販の成吉思汗のタレも登場して、家庭料理としても一気に広がりました。その後、冷凍しない生の子羊肉である生ラムが流通するようになると、クセの少なさから人気が高まり、札幌や小樽では生ラムが主役になっていきます。

戦後になると、家庭でも外食でもジンギスカンが親しまれるようになり、道内の各地に名店が育ちました。小樽もその流れのなかで羊肉の店が根づいた街のひとつです。ジンギスカンは2004年に北海道遺産、2007年には農山漁村の郷土料理百選にも選ばれており、いまや北海道の食を語るうえで欠かせない存在になっています。つまり小樽のジンギスカンは、突然できた観光向けの名物ではなく、北海道全体の食文化の延長線上にあるものだと分かります。

種羊場が置かれた札幌の月寒は、いまもジンギスカンにゆかりの深い土地として知られています。羊の飼育から料理への工夫まで、その研究や普及の中心地だった歴史が、いまの北海道の羊肉文化の土台になっています。小樽は、その札幌の食文化圏のすぐ隣にあり、人や物の行き来も活発でした。だからこそ、札幌で広まった生ラムの食べ方が、時間をおかずに小樽へも伝わっていったのです。

札幌の食文化圏に近い小樽では、焼いてからタレに付ける食べ方が中心になりました。同じ北海道でも地域によって流儀が違うのは面白いところで、札幌のジンギスカン事情は札幌ジンギスカンを地元民おすすめで巡る記事でもくわしく触れています。

生ラムと味付けどちらで選ぶか

小樽の店を選ぶとき、最初の分かれ道になるのが「生ラム」と「味付け」のどちらを選ぶかです。この二つは同じジンギスカンでも、味わいも楽しみ方もかなり違います。

生ラムは、焼いてからタレに付ける「あとダレ」の食べ方が基本です。羊そのものの風味を味わうスタイルで、札幌や小樽ではこの生ラムが主流になっています。一方の味付けは、甘辛いタレに肉を漬け込んでから焼くもので、滝川や空知地方が本場として知られます。ごはんとの相性がよく、しっかりした味が好きな人に向いています。タレの歴史や種類は、ベル食品のジンギスカンの知識のページが参考になります。

生ラムと味付けジンギスカンの違い

小樽で名店と呼ばれる店の多くは、生ラムを看板にしています。羊が苦手だと感じていた人でも、鮮度のよい生ラムなら食べやすいという声は多く、初めての一軒としても選びやすいはずです。肉そのものの違いをもっと知りたい方は、ジンギスカンはラムとマトンどっちがいいかの記事もあわせて読むと、肉選びの軸がはっきりします。

なぜ小樽で生ラムが主流になったのかを考えると、地理と流通が関わっています。味付けの漬け込みは、もともとかたく香りの強いマトンをおいしく食べる工夫として広まったものです。鮮度のよい生の子羊肉が手に入るようになると、タレでごまかす必要がなくなり、素材そのもので勝負できるようになりました。物流の要でもあった小樽は、良い肉を新鮮なまま扱いやすい立地で、札幌と同じ生ラム文化がすんなり根づいたわけです。

まとめると、羊の風味を楽しみたいなら生ラムの店、甘辛い味でごはんと食べたいなら味付けの店、という選び方が分かりやすい目安になります。小樽で迷ったら、まず生ラムから試してみるのが私のおすすめです。

七輪炭火か専用鍋か焼き方の個性

肉のタイプが決まったら、次に注目したいのが焼き方の個性です。小樽の店は、この焼き方にそれぞれのこだわりがあり、同じ生ラムでも印象が変わります。

一つは七輪の炭火で焼くスタイルです。炭の香りが肉にのって香ばしく、遠赤外線でふっくら焼き上がるのが持ち味です。もう一つが、中央がくぼんだ専用の鍋を使うスタイルで、くぼみに野菜を置き、周りで焼いた肉の脂が野菜へ流れ落ちるようになっています。肉のうまみを野菜が受け止めてくれる仕組みです。

どちらが良い悪いという話ではなく、好みと場面で選ぶのがよいところです。炭火は香りとライブ感を、専用鍋は肉と野菜のバランスを楽しめます。友人とわいわい焼くなら専用鍋、じっくり肉と向き合いたいなら炭火、という選び方もできます。焼くという行為そのものが食事の楽しみに含まれているのが、ジンギスカンならではの魅力です。目の前で肉の色が変わっていくのを見ながら会話がはずむ、その時間ごと味わうのがおすすめの過ごし方です。

焼き方は、服装や過ごし方にも関わってきます。炭火や鉄鍋で焼くジンギスカンは、どうしても煙やにおいが出やすいものです。においが気になる人は、上着を預けられる店や、無煙ロースターを備えた店を選ぶと快適に過ごせます。予約サイトの写真やクチコミで、席の様子や煙対策を確かめておくと、当日のギャップが少なくなります。

店の紹介を読むときは、この「焼き方」に注目すると、その店が何を大切にしているのかが見えてきます。写真で鍋や七輪の形を確かめておくと、当日のイメージがわきやすくなります。焼き方を知っておくだけで、店選びの解像度がぐっと上がります。

ランチと食べ放題を予算で選ぶ

予算と時間帯も、店選びの大事な物差しです。小樽にはランチでジンギスカンを出す店もあれば、夜の食べ飲み放題を用意する店もあります。昼と夜で使い分けると、旅の予定にも組み込みやすくなります。

観光の合間に軽く味わいたいなら、ランチ営業のある店が便利です。ランチはメニューがしぼられているぶん、価格もおさえめのことが多く、初めての一皿を気軽に試せます。昼にジンギスカンを軽く済ませておけば、夜は寿司や海鮮に回す、といった組み立ても可能です。逆に、夜にゆっくり楽しみたいなら、個室で食べ飲み放題を用意する店を選ぶと、時間を気にせず羊肉を堪能できます。夜のジンギスカンは、一日の観光を締めくくるごほうびのような一皿になります。

グループの人数や、旅の予算に合わせて選ぶのが失敗しないコツです。予約サイトを見ると、コースの内容や時間の目安が書かれていることが多いので、あらかじめ確認しておくと当日あわてずにすみます。

予算を考えるときは、飲み物の分も見込んでおくと安心です。ジンギスカンはビールやサワーが進む料理なので、食べ放題に飲み放題を付けるかどうかで、一人あたりの合計はけっこう変わります。肉だけをしっかり食べたいのか、飲みながらゆっくり過ごしたいのかで、コースの選び方も変わってきます。人数と目的をはっきりさせておくと、迷いが減ります。

ただし、食べ放題の有無や料金、ランチの時間帯は店や時期によって変わります。ここでは目安として押さえておき、実際の内容は各店の最新情報で確かめるのが確実です。予算の見通しが立つと、旅全体の計画も組みやすくなります。

予約と個室で観光の動線に合わせる

最後の物差しは、予約のしやすさと、観光の動線に合うかです。ここは、旅の満足度を左右する意外に大きなポイントになります。

小樽のジンギスカンの名店は、駅から歩ける繁華街に集まっているものが多く、運河や堺町通りの観光を終えてから、そのまま夕食に向かえる近さが魅力です。都市機能と観光地が徒歩圏に収まっている小樽らしい強みで、車がなくても店をはしごしやすいのです。

人気店は混み合うことも多いので、時間が決まっているなら予約をしておくのが安心です。個室のある店なら、小さな子ども連れやグループでも周りを気にせず楽しめます。前日までの予約が必要な店もあるため、旅程が決まったら早めに動いておくとよいでしょう。とくに週末や連休、観光のトップシーズンは、当日の飛び込みだと入れないこともあります。行きたい店が決まっているなら、旅の予約と同じタイミングで席も押さえておくと、当日を安心して過ごせます。

宿の場所も、店選びと合わせて考えたいところです。小樽駅や運河の周辺に泊まるなら、繁華街の店へは歩いて向かえますし、少しお酒を楽しんでも移動の心配がありません。札幌から日帰りで訪れる場合は、帰りの電車の時間から逆算して入店時間を決めておくと、あわてずに食事を楽しめます。小樽と札幌は電車で三十分ほどの近さなので、夜の一杯まで楽しんでから戻ることも十分できます。

観光の動線に店を組み込む発想でいると、限られた滞在時間を上手に使えます。昼は運河、夜は地元のジンギスカン、という一日の流れは、小樽ならではの過ごし方です。次の章からは、こうした軸をふまえて、具体的なおすすめの店を見ていきます。

小樽でおすすめのジンギスカン名店ガイド

ここからは、実際に名前の挙がる小樽のジンギスカンの店を、タイプ別に紹介していきます。生ラムの人気店から、高級志向の専門店、味付け派の選択肢まで、それぞれの個性を整理しました。

タイプ別に見た小樽のジンギスカンの選び方

まず、代表的な店を系統ごとに一覧で見比べてみます。肉のタイプと焼き方、向いている場面を並べると、自分の好みに近いのはどれかが見えてきます。

店の系統 肉のタイプ 焼き方の特徴 向いている場面
生ラムの人気店 新鮮な生ラム 七輪の炭火で香ばしく 羊の風味を楽しみたい時
専用鍋の店 豪州産などの生ラム 中央がくぼんだ鍋で野菜も 食べ飲み放題や宴会
高級専門店 希少なサフォーク種 専門店でていねいに 記念日やお祝いの席
味付けの老舗系 タレ漬けのラム 漬け込んだ肉を焼く 甘辛い味でごはんと

北とうがらし本店の生ラムと炭火

小樽の生ラムを語るうえで外せないのが、小樽ジンギスカン倶楽部の北とうがらし本店です。花園の繁華街にあり、観光客からの知名度も高い、小樽を代表するジンギスカンの一軒として知られています。

看板は、生後六か月から十か月ほどの子羊を使った生ラムです。臭みが少なくやわらかい肉を、ふちの立ったオリジナルの鍋と七輪の炭火で焼くのが持ち味で、炭の香りをまとった羊肉を楽しめます。タレに唐辛子を効かせているのが店名の由来だと言われています。

個室の席数も多く、二人から大人数の宴会まで対応できるため、旅の仲間とゆっくり囲むのにも向いています。地元の常連客も通う店なので、観光客と地元の人がまじって羊肉を楽しむ、小樽らしい光景に出会えます。

肉のメニューはシンプルにまとまっていて、生ラムのよさをまっすぐ味わえる構成になっています。あれこれ迷わずに、まず良い肉を炭火で焼いて食べるという、ジンギスカンの原点のような体験ができます。焼き加減を店の人に教わりながら、片面をさっと焼いて裏返すだけで、羊のうまみがしっかり立ち上がります。

初めて小樽でジンギスカンを食べるなら、まずこの一軒を候補に入れておくと間違いが少ないと私は見ています。生ラムと炭火という、小樽の主流をわかりやすく味わえる店だからです。

えいじん小樽店のくぼみ鍋の魅力

専用鍋のスタイルを味わいたいなら、ジンギスカン えいじん 小樽店が候補になります。小樽駅から歩いて十五分ほどの花園エリアにあり、すすきのやニセコにも展開する店の小樽店です。

ここの特徴は、中央がくぼんだ「えいじん式」の鉄鍋です。くぼみに野菜を置き、周りで焼いた肉の脂が自然に野菜へ流れ落ちる仕組みで、肉のうまみを野菜がしっかり受け止めます。使うのは臭みが少なく脂が甘い豪州産のラムで、肩ロースや肩の部位を味わえます。

豆知識です。「生ラム」とは冷凍していない生の子羊肉のことで、独特のクセが少なく、羊が苦手だった人でも食べやすいと言われます。冷凍技術と流通の発達によって道内でも広まったもので、小樽の名店の多くがこの生ラムを看板にしています。

くぼみ鍋のよいところは、焼くうちに肉のうまみを含んだ脂が野菜にしみて、締めまでおいしく食べ切れる点です。もやしや玉ねぎ、かぼちゃといった野菜が、肉の脂を吸って主役級のおかずに変わるので、肉ばかりで重くなりにくいのも助かります。すすきのやニセコで鍛えた味を、小樽の街なかで気軽に楽しめるのはうれしいところです。

食べ飲み放題のコースや個室もそろっているため、グループでの利用や宴会にも向いています。前日までの予約が必要なコースもあるので、人数が決まったら早めに連絡しておくと安心です。肉と野菜をバランスよく楽しみたい人に、私はこの店をおすすめします。

小樽別邸の高級サフォークラム

記念日やお祝いの席には、ジンギスカーン小樽別邸のような高級志向の専門店もあります。ふだんづかいの店とは少し違う、特別な一皿を求めるときの選択肢です。

この店の主役は、世界で一パーセントほどしかいないと言われるアイスランド産のサフォーク種のラム肉です。希少な羊肉をていねいに味わえる店として知られ、テレビ番組で取り上げられたこともあります。くわしい内容はジンギスカーン小樽別邸の公式サイトで確認できます。

ふらりと入るというより、あらかじめ予定を立てて訪ねたい店です。小樽での特別な夜や、羊肉が好きな人へのもてなしの場として考えると、専門店ならではの満足感があります。予算はやや上がりますが、そのぶん記憶に残る一軒になります。

高級店を選ぶときは、席の予約とあわせて、その日の入荷やコースの内容を問い合わせておくと安心です。希少な品種を扱う店では、仕入れの状況によって提供できる部位が変わることもあります。せっかくの機会を確実なものにするためにも、事前のひと手間を惜しまないほうがよいでしょう。特別な日にふさわしい静かな時間を、心づもりをして迎えたいものです。

サフォーク種は、羊肉のなかでも風味が豊かでやわらかいとされる品種です。ふだん食べ慣れた生ラムとの違いを、あえて比べてみる楽しみがあるのも、こうした専門店ならではです。羊肉が好きな人ほど、その差をはっきり感じられます。落ち着いた空間でゆっくり味わえるので、会話を楽しみながらの食事にも向いています。

普段は生ラムの人気店、特別な日は高級専門店、というように場面で使い分けると、小樽のジンギスカンの楽しみ方が広がります。目的に合わせて店を選べるのも、名店がそろう小樽ならではの贅沢です。

味付け派に松尾ジンギスカンほか

甘辛い味でごはんと一緒に楽しみたい味付け派には、松尾ジンギスカンの小樽支店のような選択肢があります。味付けジンギスカンは滝川で生まれたスタイルで、その代表格の一つが松尾ジンギスカンです。

味付けの魅力は、タレに漬け込んだ肉のしっかりした味わいです。生ラムが素材の風味で勝負するのに対し、味付けはタレと肉が一体となった、なじみ深い家庭的な味を楽しめます。子どもから年配の方まで食べやすく、白いごはんが進む味です。

生ラム中心の小樽では、味付けの店は数としては多くありませんが、こうした老舗チェーンの支店なら安定した味を楽しめます。北海道の味付けジンギスカンを一度試してみたい、という旅行者にも向いています。滝川など味付けの本場の話題は、道内の地域差を知る手がかりにもなります。

味付けジンギスカンは、家庭の食卓とのつながりが深いのも特徴です。道民にとっては、運動会やお花見など、みんなで集まる場で焼く料理として記憶に残っていることが多いものです。旅先でその味に触れると、北海道の人が日常でどんなふうにジンギスカンを楽しんでいるのかが、少し身近に感じられます。観光の一皿としてだけでなく、暮らしの味として受け取ってみるのも一興です。

生ラムと味付けの両方を食べ比べてみると、同じジンギスカンでもこれほど違うのかと驚くはずです。小樽を拠点に、二つのスタイルをめぐってみるのも面白い楽しみ方です。

観光の合間に立ち寄る楽しみ方

小樽のジンギスカンは、観光とセットで楽しんでこそ魅力が引き立ちます。店の多くが駅前の繁華街に集まっているため、日中の観光の締めくくりに組み込みやすいのです。

たとえば、昼は小樽運河や堺町通りを歩き、天狗山からの眺めを楽しんだあと、夕方に花園の繁華街へ移動してジンギスカンで一日を締めるという流れは、無理のない動線になります。観光地と飲食店街が徒歩圏に収まっているのは、コンパクトな都市機能を持つ小樽ならではです。小樽観光全体の回り方は小樽市の総合ガイドにまとめています。

寿司を昼に食べたなら、夜はジンギスカンで羊肉を、という組み合わせもぜいたくです。海の幸と羊肉という、港町と牧畜の両方の恵みを一日で味わえるのは、北海道らしい体験になります。地元の人にまじって夜の街で羊肉を囲む時間は、観光ガイドには載りにくい小樽の素顔に触れる時間でもあります。

季節によって、楽しみ方が変わるのも小樽らしいところです。冬は雪あかりの路のような催しで街全体がやわらかな光に包まれ、冷えた体で入る店の熱々のジンギスカンは格別です。夏は日が長く、運河の散策を終えてもまだ明るいうちから店に入れるので、ゆっくりと夜へ移っていく時間を楽しめます。同じ店でも、訪れる季節でまるで違う表情を見せてくれます。

もう一つ覚えておきたいのは、地元の人にとってのジンギスカンの位置づけです。観光客が特別な一皿として味わう一方で、道民にとっては家族や仲間と気軽に囲む日常の料理でもあります。その両方のまなざしが重なる場所に、小樽のジンギスカンの面白さがあると私は感じています。旅の高揚と暮らしの落ち着きが、一つの鍋のまわりで自然にとけ合っていくのです。

限られた滞在のなかでも、動線を意識して店を選べば、観光と食事の両方を無理なく楽しめます。小樽という街の「近さ」を生かすのが、満足度を上げるコツです。

まとめ|小樽ジンギスカンの選び方

ここまでを整理します。小樽は寿司の街であると同時に、生ラムを主役にしたジンギスカンの名店がそろう街でした。羊毛のために羊が飼われた歴史の延長線上で、札幌の食文化圏に近い小樽にも生ラムの店が根づいてきたのです。

店を選ぶときは、まず生ラムか味付けかを決め、次に七輪炭火か専用鍋かという焼き方、そして予算と観光の動線を重ねて見るのがおすすめです。迷ったら、生ラムの人気店から試すのが小樽らしい入口になります。記念日には高級専門店、味付けを試したいなら老舗チェーンの支店、と場面で使い分けると楽しみが広がります。

今回たどってきたように、小樽のジンギスカンは「寿司の街」というイメージの落差から始まり、羊毛政策という歴史の種明かしにつながり、駅前の繁華街という近さと、地元の暮らしの味という日常に着地しました。ひとつの料理をたどるだけで、この街の意外な奥行きが見えてきます。海の玄関として栄えた商都の懐の深さが、羊肉の食文化を育ててきたのだと分かると、一皿の味わいも少し違って感じられるはずです。

寿司だけではない小樽のもう一つの顔を、ぜひ羊肉から味わってみてください。港町の海の幸と、牧畜が生んだ羊肉。その両方を一日でめぐれるのが、私が考える小樽のジンギスカンおすすめの楽しみ方です。次の小樽旅では、夜の花園で立ちのぼる煙を、ぜひ目当てにしてみてください。

小樽のジンギスカンに関するよくある質問

最後に、小樽のジンギスカンについて寄せられやすい疑問をまとめました。店選びや当日の過ごし方の参考にしてみてください。

Q1. 小樽でジンギスカンといえば、どの店がおすすめですか?

A. 生ラムを楽しめる人気店から選ぶのが分かりやすい入口です。花園の繁華街にある小樽ジンギスカン倶楽部の北とうがらし本店や、専用鍋が特徴のえいじん小樽店などが、観光客にも知られた代表的な店です。記念日には高級専門店、味付けを試したいなら老舗チェーンの支店と、場面で使い分けるのもよい選び方です。まずは生ラムの店から試すと、小樽らしさを味わえます。

Q2. 小樽のジンギスカンは生ラムと味付けのどちらが多いですか?

A. 小樽は札幌の食文化圏に近く、焼いてからタレに付ける生ラムのスタイルが主流です。名店と呼ばれる店の多くが、鮮度のよい生ラムを看板にしています。甘辛いタレに漬け込む味付けジンギスカンは滝川や空知地方が本場で、小樽では老舗チェーンの支店などで味わえます。羊の風味を楽しむなら生ラム、しっかりした味が好みなら味付け、という選び方が目安になります。

Q3. 小樽駅から歩いて行けるジンギスカンの店はありますか?

A. あります。小樽のジンギスカンの名店は、駅から歩ける花園などの繁華街に集まっているものが多く、車がなくても訪ねやすいのが特徴です。えいじん小樽店は小樽駅から歩いて十五分ほどの距離にあります。運河や堺町通りの観光を終えたあと、そのまま夕食に向かえる近さが魅力です。徒歩圏で店をはしごしやすいのも、コンパクトな小樽ならではの楽しみ方です。

Q4. 小樽でジンギスカンのランチや食べ放題はありますか?

A. どちらもあります。観光の合間に軽く味わえるランチ営業の店もあれば、夜に個室で食べ飲み放題を用意する店もあります。昼と夜で使い分けると旅程に組み込みやすくなります。ただし、ランチの時間帯や食べ放題の有無、料金は店や時期によって変わることがあります。来店の前に各店の公式サイトや予約サイトで、コースの内容と時間を確認しておくと安心です。

Q5. 人気店は予約しておいたほうがよいですか?

A. 時間が決まっている旅行なら、予約をおすすめします。小樽のジンギスカンの人気店は混み合うことも多く、前日までの予約が必要なコースを設ける店もあります。個室のある店を選べば、子ども連れやグループでも周りを気にせず楽しめます。旅程が決まったら早めに連絡し、あわせて営業時間や定休日も確認しておくと、当日あわてずにすみます。

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