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北海道を知ろう

北海道の代表的な衛星都市・ベッドタウン・隣町②

今年も受験シーズン真っ盛り。1月14、15日には大学入試共通テストが行われ、これからは国立大学の二次試験や私立大学の試験、また高校などの入試も続々と行われることでしょう。その中で昨年の大学入試共通テストを振り返ってみると、地理Bの試験問題では苫小牧市が扱われました。

以前、地方都市と活況をみせるその近隣自治体を紹介しましたが、苫小牧市もこれらの都市同様、中心市街地の空洞化が目立ちます。その一方で人口の減少はあまりみられず、17万人台を維持しています。そこにはどういった要因があるのでしょうか?

1.工業都市としての存在感

戦前から工業都市として発展してきた苫小牧。支笏湖周辺などの山林から切り出された木材を活用し、製紙業が盛んに行われてきました。現在でもその姿は変わらず、苫小牧駅に降りると市中心部にある製紙工場の巨大な煙突と吐き出される煙が見え、苫小牧のアイデンティティを感じられます。この工場の存在が中心市街地の整備に影響を及ぼし、駅周辺には工場の系列企業のホテル、病院のほか、1990年代中盤まで百貨店、大型商業施設が出店していました。

また戦後には苫小牧西港が整備され、2021年の港湾統計によると海上出入貨物トン数総数では全国4位を誇ります。貨物船の出入りだけでなく、苫小牧西・東の両港にはフェリーターミナルもあります。

2.ロードサイド店の出現

1990年代末以降、郊外に広大な駐車場を擁する大型店の出店がみられるようになりました。苫小牧西港やJR貨物の苫小牧貨物ターミナルから線路を挟んだ西側には大型ショッピングモールや娯楽施設、飲食店などが所狭しと立ち並んでいます。市役所や苫小牧駅がある中心部から北東に直線距離で4kmほど、近年著しい発展を遂げている沼ノ端地区からも同じく約4kmと両者のほぼ中間地点にあり、双方からアクセスしやすい立地です。近隣の道路は道幅が広く、幹線道路からのアクセスも良好である一方、鉄道の駅はなく、公共交通を使って訪れるにはバスを利用するほかありません。

3.沼ノ端地区の繁栄

市中心部から北東に約8kmの場所にある沼ノ端地区。JR沼ノ端駅に程近い沼ノ端中央をはじめ拓勇町やウトナイ地区など、この地域の人口は5年前と比較しても増加を続けており現在では数万を数えます。またこの地域にある小中学校の児童・生徒数も非常に多くなっており、一時期はテレビニュースや新聞などでも取り上げられていました。現在でもウトナイ小学校や青翔中学校の児童・生徒数は市内でトップです。

沼ノ端地区では2000年代中盤からは駅周辺の整備が進められました。2007年には沼ノ端駅に一部の特急列車が停車するようになり、札幌方面との行き来の利便性が高まりました。駅周辺はニュータウンらしく、きれいに整備された街路が印象的です。地区内にはスーパーやホームセンター、飲食店など生活に必要な施設が一通り揃っており、市の中心部や大型スーパーへ毎日のように買い物へ出かける必要はなさそうです。

自家用車で出かけるにも高規格道路のインターチェンジが近くにあるほか、道内随一の幹線道路である国道36号線が近くを通っており、とても便利な環境が整っていると言えるでしょう。

4.広域的にみた苫小牧

同じ胆振地方には総合振興局がある室蘭市がありますが、こちらは苫小牧とは対照的に衰退の様相を呈しています。ともに同じ工業都市として成長してきましたが、室蘭では工場の規模縮小や閉鎖がみられたのに対し、苫小牧はそのような事態にはなっていません。

苫小牧は札幌都市圏や新千歳空港へも近接性が高く、鉄道の場合、札幌方面へは概ね特急・普通ともに1時間に1本程度の本数が確保され1時間程度で札幌へ到達できるほか、新千歳空港へも車で20~30分で行くことができます。また、車であれば道南はもちろん、道北や道東方面へも札幌を経由することなく向かうことができます。こうした札幌や主要空港、果ては首都圏までの近接性と交通結節点としての利便性も武器となっているのではないでしょうか。

 

まとめ

以前取り上げた釧路市や帯広市とその周辺では、行政区界を跨いでロードサイド店の出店や宅地造成がみられたのに対し、苫小牧ではこれらが市内にみられるという違いがあります。中心市街地と発展著しい沼ノ端地区の中間地点に各方面から自家用車で訪れやすい大型商業施設を含むロードサイド店が林立している、また沼ノ端地区は新千歳空港や札幌方面へのアクセスが良好である、さらに苫小牧市全体でみると陸海空各交通モードの結節点となっている、こうしたことが道内、国内外の産業や流通網の中に組み込まれ、現在の苫小牧の強さとなっているのではないでしょうか。

 

参考文献・サイト

佐藤正志(2019) 中心市街地再生に向けた地方自治体における独自政策の運営とその成果:北海道苫小牧市を事例として.静岡大学教育学部研究報告.人文・社会・自然科学篇

https://www.city.tomakomai.hokkaido.jp/files/00006200/00006289/r4matibetu.pdf

https://www.city.tomakomai.hokkaido.jp/files/00007700/00007708/20220512142314.pdf

https://www.mlit.go.jp/common/001412255.pdf

https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tuk/001ppc/co.html