まりもみたいな植物って何?似ている理由を調査!
北海道でお土産店をのぞくと、丸くてふわふわした緑の物体が「まりも」として売られている場面によく出会います。阿寒湖の特別天然記念物のはずなのに、なぜ店先に並んでいるのだろうと、不思議に思う方もいるかもしれません。
実はその答えを探っていくと、「まりもみたいな植物」と呼ばれる仲間が地上にも水中にも複数存在することが見えてきます。阿寒湖の本物との違いを知れば、選び方も飾り方も変わってきます。育てられるものと、育てられないもの、本物とフェイクが同じ棚に並んでいるのが今の売り場の実情です。
この記事では、まりもの正体から丸くなる理由、似た植物との違い、自宅で楽しむ方法までを、私・とかいかんが北海道の物差しで確かめていきます。北海道の内側にいると当たり前に見えるものほど、外から見ると不思議に映ることが多く、まりもはその代表格といえる存在です。
- まりもが丸い球体になる仕組みと、阿寒湖が特別な理由
- 地上で育てられる「まりもに似た植物」の代表種
- 100均やお土産店で売られているまりもが本物かどうかの見分け方
- 阿寒湖の本物のまりもを間近で見に行く方法
ここから、まりもの正体と楽しみ方を順番に見ていきます。まず気になるのは、そもそも「まりも」とは何者なのかという基本のところです。
「まりもみたいな植物」と呼ばれる正体
まず、まりもがどんな生き物で、なぜ地上の植物まで「まりもみたい」と呼ばれるようになったのか、その土台から確認します。正体を知ると、似ている理由も自然につながって見えてきます。分類、丸くなる理由、似た姿を持つ植物や商品という順番で、少しずつ視点を広げていきます。
まりもとは何か 阿寒湖の特別天然記念物
まりもは、シオグサ科に分類される淡水性の緑藻の一種です。糸状のとても細い藻が幾重にも絡まり合い、直径数センチから、大きなものでは30センチを超える球体に育ちます。名前の由来は明治30年(1897年)、植物学者の川上瀧彌が球状の藻に「鞠(まり)」の形を重ねて「毬藻」と名付けたことにあります。学術的な分類上はコケの仲間ではなく、光合成を行う藻類の一種という点も見落とされがちなポイントです。
北海道の阿寒湖で見つかったまりもは、大正10年(1921年)に天然記念物、昭和27年(1952年)には特別天然記念物に指定されました。特別天然記念物は文化財保護法で最も重い保護区分で、採取はもちろん傷つけることも認められていません。動植物でこの区分に指定されている例は全国でもごくわずかで、トキやオオサンショウウオなどと並ぶ扱いになります。
指定の決め手になったのは、単に珍しいというだけでなく、直径が大きく形の整った球体に育つという、世界的に見ても類のない成長のしかたです。同じ藻であっても、糸状のまま漂うだけの群体は各地に存在するため、球体に育つという一点が、阿寒湖のまりもを特別な存在に押し上げていることになります。
毎年3月29日は「まりもの日」とされています。これは昭和27年(1952年)のその日に、阿寒湖のまりもが国の特別天然記念物に指定されたことにちなむ記念日です。丸い形に大きく群生する例は、かつて阿寒湖と、アイスランドのミーヴァトン湖の2か所だけで確認されていましたが、ミーヴァトン湖は2010年代に工場排水の影響で群生が失われてしまいました。今では阿寒湖が、丸い球状のまりもが群生する世界で唯一の場所になっています。
大きさの感覚をつかむために比べてみると、100均や観葉植物店で見かけるまりもは、手のひらに収まる豆粒大から数センチほどのものが中心です。それに対して阿寒湖で育つ大きなまりもは、両手で抱えるほどの直径30センチ超えにまで成長します。同じ生き物とは思えないほどの差が、育つ環境の違いから生まれているわけです。
阿寒湖は、阿寒摩周国立公園の中にある湖のひとつでもあります。まりもという一種類の藻だけでなく、湖そのものが国立公園として保護されている広い枠組みの中にあることも、あわせて押さえておきたいポイントです。
まりもという藻自体は、阿寒湖だけの生き物ではありません。釧路湿原内の湖沼や青森・秋田・富山の湖、さらに富士五湖や琵琶湖でも見つかっており、海外でもアイスランドやロシアなど北半球の広い範囲に分布しています。ただし、その多くは糸状のまま漂うだけで、阿寒湖のように直径30センチ級の丸い球体に育つ例はまれです。
「世界でここだけ」というイメージは、藻そのものの存在ではなく、大きく丸く育つという一点において正しいということになります。分布の広さと、形の珍しさは、分けて理解する必要があるわけです。
なぜ球体になるのか 波が生むメカニズム
阿寒湖のまりもが丸くなる理由は、浅瀬と風が生み出す波の力にあります。阿寒湖には水深の浅いエリアが広がっており、夏場に強い風が吹くと、湖面から湖底にかけて渦を伴う波が発生します。この波によって、まりもは湖底の同じ場所でゆっくりと回転を続けます。
糸状の藻が一定の方向にだけ日光を浴び続けると、その面ばかりが成長していびつな形になります。ところが、波による回転で全方向に均等な日光が当たることで、藻は表面全体で同じように育ち、結果として整った球形に近づいていきます。「丸さ」は偶然の産物ではなく、浅瀬・風・波という環境条件が重なって初めて生まれる形です。まりもは最初から丸いのではなく、岩や小石にくっついていた糸状の藻が剥がれ落ち、転がりながら少しずつ丸まっていくという成長の結果でもあります。
裏を返すと、この条件が崩れると丸くはなりません。近年の研究では、水温上昇にともなって阿寒湖に生える水草の種類が増え、湖底を覆うようになったことで、まりもが転がりにくくなっている状況が報告されています。回転できないまりもは球形を保てず、成長が滞ったり枯れてしまったりする例も出てきています。強風のあとにまりもが岸へ打ち上げられてしまう現象も、同じ「波の力」が裏目に出たケースといえます。
展示水槽でまりもが定期的に転がされているのを見かけることがありますが、あれは演出ではなく、自然の湖で起きている現象を再現している管理作業にあたります。丸さを保つには、放置ではなく適度な水流が欠かせないという点は、次の章で紹介する自宅での育て方にもそのままつながってきます。
この仕組みが分かってきたのも、まりもが長年にわたって観察・研究されてきた対象だからです。堆積物や成長の記録を積み重ねることで、目に見えない湖底での動きまで推定できるようになりました。次の章で紹介する2025年の研究成果も、こうした地道な調査の延長線上にあります。
地元の博物館や研究機関の学芸員は、潜水調査や定点観測を通じて、まりもの大きさや分布の変化を継続的に記録しています。「丸いから面白い」で終わらせず、なぜ丸いのかを何十年もかけて解き明かしてきた積み重ねが、今こうして仕組みとして説明できる形になっています。
地上にもある丸い植物 コキア
まりもに似ていると紹介されることが多い地上の植物の代表が、コキアです。コキアはアカザ科(ヒユ科)の一年草で、初夏から夏にかけては鮮やかな緑色のこんもりとした株に育ち、秋になると赤や黄色に紅葉することでも知られています。関東の観光地で群生が有名になったこともあり、丸くもこもことした姿を写真で見た覚えがある方も多いかもしれません。
丸く密集した草姿がまりもの球体を連想させることから、観光地や庭園で「陸のまりも」のように扱われる場面もあります。ただし、コキアは一年草のため冬を越すことができず、種から毎年育て直す必要がある点が、何年も生き続ける水中のまりもとは大きく異なります。乾燥した土地でも育つ丈夫さがある一方、まりものように水中でゆっくり回転しながら形を整えるわけではなく、剪定や日当たりの管理で丸みを維持している点も見た目以上に手間がかかる部分です。
本州の観光地では、夏の緑一色から秋の紅葉まで、一株で二度楽しめる植物として親しまれています。北海道内でも花壇の縁取りや鉢植えとして取り入れられる例があり、まりもとは全く違う季節感を持つ植物として、あわせて楽しむこともできます。種苗店やホームセンターの園芸コーナーでは、初夏に苗が並び始めることが多く、育てやすさから初心者にも選ばれやすい植物のひとつです。
もうひとつの候補 サギナ アイリッシュモス
サギナ(アイリッシュモス)も、まりもとよく比較される植物です。ナデシコ科の多年草でヨーロッパ原産、3〜5センチほどの細かい葉が密に茂り、こんもりとした緑のクッションのような姿になります。春から初夏には直径5ミリほどの白い小花を咲かせます。モスという名前が付いていますが、コケの仲間ではなくナデシコの一種という点は、まりもが藻でありながら「植物」として語られがちなのと似た紛らわしさです。
サギナは日当たりを好む一方で、真夏の直射日光と高温多湿には弱く、風通しのよい半日陰で育てるのが向いています。寒さにはマイナス5度程度まで耐えるため、庭のグラウンドカバーとして北海道でも利用例があります。まりものような球体そのものではなく、地面を覆う緑のじゅうたんに近い姿という違いも押さえておきたいところです。株分けやこぼれ種でも増えるため、一度定着すれば毎年植え直す手間がかからないのも、一年草のコキアとは異なる強みです。
庭全体を覆うグラウンドカバーとして使う場合は、踏みつけにもある程度耐える丈夫さが利点になります。鉢植えで小さくまとめて育てれば、玄関先や窓辺に置ける手のひらサイズの緑としても楽しめます。
丸くこんもりとした緑を楽しむ手段としては、苔玉(こけだま)も選択肢のひとつです。土を丸めて植物の根を包み、表面を苔で覆う仕立て方で、まりもとは全く違う作り方でありながら、丸い緑という見た目の方向性は近いものがあります。サギナやコキアを苔玉仕立てにするアレンジも見られ、和のインテリアとの相性も良い組み合わせです。
フェイクグリーンのまりもとの違い
店頭に並ぶ「まりも」には、生きた植物ではないフェイクグリーンも数多く混ざっています。外側は苔のように見える人工素材で覆われ、中身は発泡スチロールが詰まっているタイプが代表的です。水やりも植え替えも不要で、インテリアとして飾り続けられる手軽さが特徴です。
生きているまりもと違い、フェイクグリーンは成長したり枯れたりすることがありません。「育てる楽しみ」を求めるなら生きたまりもを、「手入れ不要の見た目」を求めるならフェイクグリーンを選ぶという基準で考えると選びやすくなります。パッケージに「造花」「フェイク」といった表記があるかどうかも、購入前に確認しておくと安心です。
日光の入らない部屋や、旅行で長期間家を空けることが多い暮らし方では、水替えの要らないフェイクグリーンのほうが向いている場合もあります。逆に、日々の変化を眺める楽しみを重視するなら、多少の手間はあっても生きたまりもを選ぶ理由になります。どちらが優れているかではなく、置く場所と暮らし方に合わせて選ぶという考え方が実用的です。
価格の面でも違いがあり、フェイクグリーンは素材代だけで済む分、比較的安価に手に入ることが多いです。生きたまりもは養殖や成形の工程がかかるため、同じサイズでもやや高めの値付けになりやすい傾向があります。長く飾り続けたい場所か、こまめに世話ができる場所かを、購入前に思い浮かべておくとよいでしょう。
水槽で人気のまりもボールとは
アクアリウムの世界では、生きたまりもが「まりもボール」として親しまれています。水道水でも育てられる手軽さから、初心者向けの水草としても紹介されることが多く、ガラス瓶やボトルアクアリウムに1個入れるだけで見た目が整うことから人気を集めています。エビや小型の熱帯魚と同じ水槽に入れても悪影響が少なく、水質を落ち着かせる役割を期待されることもあります。
まりもボールとして流通しているものの多くは、阿寒湖産ではなく海外や国内の別の産地で採れた繊維状のまりもを、人の手で丸く成形した「アートまりも」です。丸めた直後は形が崩れやすいものの、水槽の中で少しずつ回転しながら丸みを保っていきます。次の章で扱う100均のまりもも、基本的にはこのアートまりもの一種です。
水槽で育てる場合は、強い直射日光を避けた明るい場所に置き、数日に一度は容器の中でころころと転がしてあげると、片側だけが変色したり傷んだりするのを防ぎやすくなります。これは、阿寒湖で波がまりもを転がしているのと同じ理屈を、家庭の水槽で人の手が肩代わりしている作業にあたります。
サイズ展開も幅広く、直径1〜2センチほどの小粒なものから、5センチを超える見応えのあるものまで販売されています。誕生日や引っ越し祝いなどのちょっとした贈り物として選ばれることもあり、世話の手軽さと存在感の両方を兼ね備えている点が支持されている理由の一つです。ラベルに「まりも」とだけ書かれている商品でも、実際には次に紹介する100均のアートまりもと同じ成り立ちのものが多く、呼び方が違うだけで中身は共通しているケースがほとんどです。
自宅で「まりもみたいな植物」を楽しむ方法
ここからは、実際に手に入れて楽しむ側の視点に立ちます。100均で売られているまりもの正体から、阿寒湖の今の様子、現地へのアクセスまで、暮らしの目線で確かめていきます。買う、育てる、見に行くという三つの場面に分けて整理すると、自分に合った楽しみ方が見えやすくなります。
100均ダイソーのまりもは本物か
結論から言うと、ダイソーなどで販売されているまりもの多くは本物の生きた藻です。ただし阿寒湖から採ってきたものではなく、別の産地で養殖された繊維状のまりもを、人の手で丸く形作った「アートまりも」にあたります。一方で、同じ売り場にフェイクグリーンの人工素材の商品が並ぶこともあり、本物と偽物が入り混じっているのが実情です。
購入時に見分けるコツは、パッケージの説明表記を確認することです。「生体」「水草」といった表記があれば生きたまりもで、「造花」「フェイク」「観賞用オブジェ」といった表記があれば人工素材と判断できます。触った感触も手がかりになり、生きたまりもは弾力があってしっとりしていますが、フェイクは発泡スチロールの硬さが残ります。
値段も一つの目安になります。生きたアートまりもは、丸く成形する手間がかかる分、フェイクグリーンよりもやや高めの価格帯で売られていることが多いです。あまりに小さく軽い商品は、人工素材である可能性を疑ってよいでしょう。店頭で迷ったときは、店員に本物かどうかを直接確認するのが最も確実な方法です。
取り扱いは店舗や時期によって差があり、常に同じ商品が並んでいるとは限りません。北海道内の店舗では観光需要に合わせて品揃えが手厚い一方、本州の店舗では取り扱いが限られることもあります。見つけたときにまとめて確認しておくと、後で探し直す手間を省けます。
| 種類 | 産地 | 生体か | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 阿寒湖の天然まりも | 阿寒湖のみ | 生体 | 採取・売買とも禁止 |
| 市販のアートまりも | 阿寒湖以外の産地 | 生体 | 人の手で丸く成形 |
| フェイクグリーン | 製造品 | 人工素材 | 手入れ不要で枯れない |
たとえば旅行のお土産としてまりもを選ぶ場合、持ち帰った後に世話を続けられるかどうかも考えておきたいところです。留守が多い家庭ならフェイクグリーンを、日々の変化を楽しみたい家庭なら生きたアートまりもを選ぶと、後悔の少ない買い物になります。
市販まりもがあるのに天然記念物なのはなぜか
「特別天然記念物なのに、なぜ普通に売られているのか」という疑問は多くの人が抱くところです。種明かしをすると、規制の対象になっているのは、あくまで阿寒湖に生育する天然のまりもだけです。文化財保護法の規定により、阿寒湖のまりもを採取したり傷つけたりする行為は、文化庁長官の許可がない限り禁じられています。
一方、市場に出回るまりもの多くは、1970年代にシラルトロ湖などで採れる浮遊型のまりもを人工的に丸く加工する技術が確立されて以降、阿寒湖以外の産地で育てられたものです。近年ではロシアやウクライナなど海外から輸入されたまりもを丸めて販売する例も見られます。「阿寒湖産でなければ、規制の対象にはならない」という線引きが、天然記念物と店頭のまりもを両立させているということです。
この線引きは、地名や産地が特別天然記念物としての価値を決めている、という見方もできます。同じ種類の藻であっても、阿寒湖で丸く育ったものだけが国の宝として扱われ、それ以外は観賞用の商品として自由に流通する側に回るわけです。まりもというひとつの生き物が、置かれた湖によって全く違う立場になるのは、地方の自然を語るうえでも興味深い事例です。
なお、阿寒湖のまりもを無断で採取したり持ち出したりする行為は、文化財保護法違反として扱われる対象です。観光で訪れる際も、湖畔や展示施設でまりもらしきものを見つけても、持ち帰らずその場で眺めるだけにとどめておくのが基本のマナーになります。
コキア サギナの育て方のコツ
コキアを育てる場合は、日当たりのよい場所を選び、種まきから紅葉までの一年草としてのサイクルを前提に管理します。乾燥にはある程度強いものの、極端な過湿は根腐れの原因になるため、水はけのよい土を使うことがポイントです。丸い草姿を保つには、伸びすぎた枝を軽く整える程度の手入れが役立ちます。
サギナは、年間を通して風通しのよい半日陰に置くことが基本です。直射日光の当たりすぎは葉焼けと蒸れを招き、逆に日照不足は間延びした姿につながります。水はけの悪い土での栽培も根腐れの原因になりやすいため、コキアと同様に土選びが仕上がりを左右します。どちらも北海道の気候で育てやすい部類に入りますが、屋外の厳冬期は防寒や室内への取り込みを検討すると安心です。
コキア・サギナはどちらも「陸で育つ丸い植物」であって、まりものような藻ではありません。水を張った容器での栽培には向かないため、購入前にどちらが欲しいのかを整理しておくと失敗が減ります。庭に地植えしたいのか、鉢植えで室内に置きたいのかによっても、選ぶべき植物は変わってきます。
阿寒湖の本物まりもは今どうなっているのか
本物の阿寒湖のまりもについては、近年、気がかりなデータが報告されています。2025年4月に発表された東北大学などの研究チームの分析によると、湖底の堆積物に残るまりものDNAを調べた結果、明治時代初頭の生物量は現在の10倍から100倍にのぼっていたと推定されています。長い時間をかけて堆積した層を調べることで、過去にさかのぼって生物量の変化を追える点が、この研究の大きな特徴です。
減少の背景には、水温の上昇にともなう結氷期間の短縮、湖底を覆う水草の増加、強風による打ち上げなど、複数の要因が重なっているとされています。冬に湖が凍ることで強い光と低温から守られてきたまりもにとって、結氷期間が短くなることは、これまで経験してこなかった環境ストレスにさらされることを意味します。
「珍しいから守られている」まりもが、その珍しさをさらに強めながら数を減らしているというのが、2025年時点で分かっている現状です。だからこそ、お土産や観葉植物として流通するアートまりもは、天然のまりもに触れずに楽しめる選択肢としての役割も担っています。天然のものを守りながら、別の産地のものを楽しむという住み分けは、今後さらに重要になっていくでしょう。
地元の研究機関や大学では、まりもの生育環境を長期的に調べるプロジェクトが続けられており、水温や水草の分布、光の当たり方といった条件を細かく記録する取り組みが行われています。こうした調査の積み重ねが、丸い形を保てる条件を将来にわたって維持するための土台になります。
観光として阿寒湖を訪れることも、間接的にはこうした保全活動を支える一因になります。展示観察センターの入館料や周辺の観光消費が、地域による調査や環境保全の取り組みを続けるための資金の一部にあてられているためです。眺めるだけの訪問であっても、まりもを未来につなぐ営みの一部に加わっていることになります。
阿寒湖まりも展示観察センターへの行き方
実際に本物のまりもを間近で見たい場合は、阿寒湖のチュウルイ島にあるまりも展示観察センターを訪ねることになります。釧路空港からは、車で阿寒湖畔まで約60分というのが目安です。湖畔からは遊覧船に乗り換え、センターのあるチュウルイ島まではさらに約20分かかります。
バスを利用する場合は、釧路空港から阿寒湖バスセンターまで約70分、そこから乗船地点まで徒歩10分ほどが加わります。空港からセンターまでの所要時間は、車ルートでもおよそ80分というのが実際の距離感です。展示水槽では生きたまりもの群生を観察でき、丸くなる仕組みや保全の取り組みについても解説を受けられます。
阿寒湖の湖畔には温泉街も広がっており、観察センターを訪ねたあとに宿泊や食事と組み合わせて一日を過ごす旅程を組みやすいのも特徴です。遊覧船は季節や天候によって運航状況が変わることがあるため、訪問前に最新の運航情報を確認しておくと安心です。冬場は湖が結氷するため遊覧船の運航が止まる時期もあり、暖かい季節に合わせて計画を立てるのが確実です。入館や乗船には別途料金がかかるため、事前に公式情報で最新の料金と営業時間を確認してから訪れると、当日の予定が組みやすくなります。
◆とかいかんの物差し 阿寒湖のまりもは「珍しいから遠い」わけではなく、釧路空港からなら日帰りでも往復できる距離にあります。近さと希少さは必ずしも比例しません。
まりもみたいな植物に関するよくある質問(FAQ)
Q1. まりもみたいな植物はどこで買えますか
A. 生きたまりもは観葉植物店やアクアリウムショップ、北海道の土産物店などで扱われています。100均の雑貨コーナーでも、生きたアートまりもとフェイクグリーンの両方が並ぶことがあります。コキアやサギナは、園芸店やホームセンターの苗コーナーで見つかりやすい植物です。通販サイトでも取り扱いがあり、実物を見ずに選ぶ場合は、説明文に「生体」「水草」といった表記があるかどうかを確認すると失敗を防げます。
Q2. 100均のまりもは生きていますか
A. 多くは生きた藻を丸く成形したアートまりもです。ただし同じ売り場に、苔に似せた人工素材のフェイクグリーンが並ぶこともあります。パッケージの表記や手に取ったときの弾力で見分けられます。生きたまりもは水中で少しずつ大きくなっていくため、購入後しばらく様子を見ることでも本物かどうかの判断材料になります。
Q3. まりもは自宅で育てられますか
A. 市販のアートまりもであれば、水道水を入れた容器でも育てられます。強い直射日光を避け、定期的に水を替え、たまに容器の中でころころと転がしてあげると、丸い形を保ちやすくなります。水が濁ってきたら、季節を問わずこまめに交換するとまりもを長持ちさせやすくなります。なお、阿寒湖の天然まりもを自宅に持ち帰ることは法律で禁じられているため、育てられるのはあくまで別産地の市販品です。
Q4. まりもに似た植物の代表は何ですか
A. 地上植物ではコキアとサギナ(アイリッシュモス)が代表格です。水中の仲間としては、観賞用に丸く成形されたまりもボールが広く親しまれています。それぞれ分類も育て方も異なるため、飾りたい場所に合わせて選ぶと失敗しにくくなります。庭やベランダで楽しみたいならコキアかサギナ、水槽やガラス瓶で楽しみたいならまりもボールという住み分けで考えると選びやすくなります。
まとめ まりもみたいな植物との付き合い方
「まりもみたいな植物」という言葉の裏には、阿寒湖の特別天然記念物という一面と、地上のコキアやサギナ、水槽で親しまれるまりもボール、そして100均で買えるアートまりもという、いくつもの層が重なっていました。丸さを生む波のメカニズムを知ると、店先のまりもと阿寒湖のまりもが、同じ生き物でありながら全く違う環境で形づくられていることが見えてきます。
自宅で楽しむなら、生きたまりもか地上植物かという好みに加えて、本物かフェイクかという見分け方も選択の材料になります。値段や置き場所、日々の手入れにかけられる時間も、選ぶうえで無視できない要素です。
そして機会があれば、阿寒湖まで足を延ばし、本物のまりもがゆっくりと回転する姿をその目で確かめてみるのも、まりもみたいな植物への理解を深める一歩になります。珍しさの裏で数を減らしている生き物であることを知ったうえで眺めると、丸い一つの球体に、これまでとは違う見え方が加わるはずです。
「まりもみたいな植物」というひとつの疑問から、藻の分類、波の物理、陸上植物の育て方、天然記念物の法律上の扱い、そして保全の現状まで、思いのほか広い範囲の話につながっていることが分かります。北海道という土地は、こうした小さな丸い生き物ひとつからも、多くのことを教えてくれます。
参考として、釧路市公式サイトの阿寒湖のまりもに関するページ、文化庁 文化遺産オンラインの阿寒湖のまりもの解説、東北大学の2025年のまりも研究に関するプレスリリースもあわせて確認してみてください。
まりもをお土産として持ち帰りたい方は北海道で買えるまりもお土産の記事、阿寒湖のある釧路エリアの回り方は釧路市の観光と移動のまとめも参考になります。都市部にまで自然が入り込む例としては豊平川のサケが都会で見られる理由も北海道らしい落差を感じられる一本です。

